第16章 Real love
バタバタと暴れながら私を押し倒す清光。
「ねぇ鶴丸、キスはいいよね?」
言うが早いか私の唇を塞ぎ口内を荒らしてきた。
涙目になって受け止める私に、
「ふふっ、俺を誘っちゃダメだよ?」
なんて笑った。
「さーてご飯食べよっと」
どうやら3人分持ってきたらしい。
清光が狭いテーブルに並べ始める。
私はベッド脇に投げ捨てられていた下着と服を回収して身につけ、そちらに向かった。
「慧ちゃん、よかったね」
箸を持った私に清光が言う。
「やっぱり悩んで苦しんでる慧ちゃん見るのヤだもん。ほんとはヤだけど、鶴丸に抱かれて幸せそうな顔してる慧ちゃんの方がいい」
清光はそう言っているが、
「加州には敵わないさ。俺だとお前のようなあの気は出させられないからな」
鶴丸が返した。
「ま、初期刀特権ってねー。はい慧ちゃんあーん」
清光がおかずを摘まんで私の口に押しつけてくる。
「今度は俺と一日中一緒にいようね。そういえば山姥切がねー…」
可愛い顔で首を傾いだ後、清光は話題を変えた。
清光も鶴丸も楽しそうだ。
だから私も嬉しくなってしまった。
食事を済ませるとまた当たり前のように襲ってくる頭痛と眠気。
直後じゃなくなってきた理由はわからないけど、これもひょっとしたら一度帰ってしまった、というのが影響しているのかもしれない。
「慧ちゃん眠くなってきちゃった?」
「うん…私ちょっと寝てもいい?」
「あぁ寝てこい」
言われてひとりベッドに潜り込む。
もぞもぞと居心地のいい場所を探していると、
「俺も寝るー」
ベッドに飛び込んだ清光が私の隣に寝そべって抱きついてきた。
「おい、加州!!」
「寝てる間くらい貸してよ」
言いながら私に口づけ、抱きついたまま目を閉じる。
私もそれにつられて目を閉じた。
重みを感じて目覚めると、抱きついている清光の上からさらに抱きついている鶴丸の姿。
私が身を捩ったことでふたりを起こしてしまったらしく、
「ん、慧ちゃんもう起きたの?」
「早くないか?」
あくびをしながら私を解放してくれる。
「そう?」
ぼんやりする頭を無理やり働かせていると、
「だってまだ10分くらいしか経ってないよ」
清光が時計を見て言った。