第14章 Additional Times
「国永にこれ以上は容認できないとあの時言われて腹が立った。だけど腹が立つってことは、俺もあんたを、慧を慕ってるんだろうな」
酷いことをしてすまない、とまた謝罪してくれる。
私たちのこの会話はどの辺りまで聞こえているだろうか?
広間は相変わらず賑やかだが、二人だけの会話にはなっていないだろう。
「ありがとうな、いろいろ」
そう言ってくれた大倶利伽羅に、
「伽羅坊やけに素直だな」
ぴょこんとしゃがんだまま跳んで近づいてきた鶴丸。
「うるさい」
言われた大倶利伽羅の顔が赤く染まっている。
「よかったね、慧ちゃん。伽羅ちゃんも慧ちゃんが好きみたいだよ」
周りにいたのは伊達組だったようだ。
「あーあー好きだ。好きだ。満足か?」
ぶっきらぼうに言い放つ大倶利伽羅。
「俺も伽羅坊大好きだぞー」
鶴丸が言いながら大倶利伽羅に抱きつく。
「なっ国永!!」
「俺たち相思相愛だもんなっ」
「違う!!」
鶴丸と大倶利伽羅のやりとりが面白くて思わず笑った私に、
「慧ちゃん、おかえり。これからもよろしくね」
光忠が言ってくれた。
とりあえず本丸のみんなに挨拶と謝罪と顔見せを済ませて、審神者部屋に戻った私の傍にはやっぱり清光がいて。
「慧ちゃんっ」
隙を見つけては口づけてくる。
「ねぇ、みんながいる前でもキスしていい?」
「それはダメ」
「えーいいじゃんケチ」
「ケチとかじゃなくてね」
宥めていると、
「慧入るぞ」
襖が開いて大般若が姿を見せた。
「今夜は慧が戻った記念の宴会だそうだ」
「おー、いいねそれ!着物着替える?」
「…花魁はしないよ?」
「んー、じゃあどうしよっかなぁ」
「このままでいいって。てか私も厨手伝いに行きたいから襷しといてくれると助かる」
お願いして袖を上げてもらっていると、
「なぁ慧、俺とももう一度やり直してくれるか?」
胡座をかいてそれを見ていた大般若が聞いてきた。
「…それって私が決めること、なんですか?」
聞き返すと、
「いや、まぁなんとなく許可とっといた方が気分いいじゃないか」
ばつが悪そうに言う。
「そんなの決まってるじゃん。ねぇ慧ちゃん」
清光に言われて私は頷いた。