第14章 Additional Times
私がいなかったせいで本丸の力が乱れたまま、弱っていたのだと清光に教えてもらっていた。
だから、重傷だった鶴丸と一期の手入れが進まず、私が来た途端力が増して終わったのだと。
「短刀くんたち、みんな泣かせてしまいました。ごめんなさい」
私に泣きついてきた短刀くんたちは口々にいち兄がいち兄が、と言っていた。
「慧さん」
俯いていた私の両頬にあまり強くはないが少し勢いよく一期の掌が触れ包みこんだ。
「また言わせるのですか?貴女は善なのです。貴女が気に病んではいけません。言ったでしょう?私たちは乱されても傷つかないと」
「…はい」
「今こんなに本丸を幸せな気で溢れさせておいて、謝ってばかりなのはおかしいでしょう。弟たちを泣かせたのは私の責任です。貴女は悪くない」
顔を上げると一期は優しい目をしていた。
「…いち兄」
「慧さん?」
思わず口にした私を、苦笑して咎める。
その表情を見た薬研が、
「慧にとってもいち兄はいち兄だよな」
と笑った。
「さぁ慧ちゃんたちもご飯食べなよ」
光忠に声を掛けられてそちらを向くと、新選組始め幕末刀の場所に私と清光の昼食が用意されていた。
「行こ」
清光が私を立ち上がらせてそちらに引っ張る。
「慧ちゃんおかえり」
長曽祢が声を掛けてくれた。
「それは俺が教えた結び方じゃないが…」
私に言う蜂須賀に、
「俺が居るときは俺が着付けるの!!」
清光が言い返した。
「面白くないな」
蜂須賀が言い捨て、
「蜂須賀は案外ちぃさい男なんじゃのう」
見ていた陸奥守が笑う。
私は清光と並んで座り箸を手に取った。
「元気か?」
正面から和泉守が聞いてくる。
「ぅん」
「元気ならいいさ。オレらはあれだ。慧の顔見ただけでみぃんな元気になっちまうからな」
「そうですよー!だから慧さんは何にも心配しないでくださいね」
堀川も笑った。
「慧、かめきち触るか?」
浦島が傍にしゃがみ、肩のかめきちを掴んで私に差し出してきた。
「いいの?かめきち…かわいい」
実はずっと触ってみたかった。箸を置いてかめきちの顔を見つめると、片目を開けて私を一瞥し、また閉じた。
「わぁぁ」
頬に熱を集め始める私。