第14章 Additional Times
元の世界に戻って丸1日が経った。
旦那は仕事で、子どもたちはまだ実家にいる。
あと2日は子どもたちがいないから旦那が仕事に行っている間はひとりの時間がとれるはず。
はずなのに、どうしても本丸のことが気になる。
何も言わずに帰ってしまった。
きっとあのとき私が泣いていたのに鶴丸は気付いていただろう。
そして、私が帰ってしまったことにも鶴丸を始め三条や大般若たちは気付いていただろう。
都合が悪くなるとすぐに逃げる、最低な審神者だ。
やり直したい。だけど怖い。
そのまままた1日が過ぎた。2日連続無断欠勤。
旦那はお盆休みに地元に帰り同級生と泊まり込みで遊ぶ予定を立てていると、昨夜聞いた。
私は朝実家に連絡し、もう何日か子どもを預かって貰えるように頼んだ。
決めるのは私。
冷たい水を喉に流し込んで、旦那が地元に帰るというのを見送った後、2日前着て帰った着物を教わった通りに着付けてクローゼットに脚を踏み入れた。
玄関を開けると、泣き腫らした短刀くんたちと、清光が居て、私の姿を見つけたとたんに駆け寄ってきた。
その向こうで大倶利伽羅が私を睨んでいる。
目が合うと、
「あんたなにやってたんだ!?国永がっっ」
私を怒鳴りつけた。
短刀くんたちがわぁわぁと泣いているからあまりよく聞こえない。
そんな状態の玄関に、
「鶴さん、目覚めたよ!一期くんも!」
光忠が駆け込んできて、
「慧、ちゃん…」
私を見つけて表情を曇らせた。
「何が、あったの?」
清光に聞くと、
「…慧ちゃんが居なくなって、鶴丸自分のせいだってひとりで出ていっちゃって。一期が追いかけてくれたんだけどどうにも検非違使に遭ったみたいで…」
教えてくれた。
「鶴さんも一期くんも重傷で帰ってきてね、慧ちゃんがいなかったこの2日手入れ部屋に入ったまま終わらなくて。今急に手入れが進んで目覚めたんだよ」
光忠がそう教えてくれる。
「何が、あったの?」
今度は私が聞かれる番だった。
「言いたくない」
それだけ言って玄関を上がると廊下の向こうに鶴丸の姿。
「慧!!」
私を見つけるなり駆け寄ってきて抱き締めた。
「すまん。俺のせいでツラい思いさせて。いっそ折れちまおうかとも思ったんだが上手くいかなくてな」