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夢より素敵な 3.5次元

第14章 Additional Times


私をきつく抱き締めて鶴丸が泣いている。

どうしていいものか判らずにいると、

「慧、戻ってきたのなら俺の部屋に来い」

三日月にその向こう側から声を掛けられた。

「…はい」

絶対に叱られるのは目に見えて判る。

この状況、全部私のせいだ。

それだって覚悟で来たんだ。

鶴丸に離してもらい、私は三日月の部屋へと向かった。

「入れ」

部屋の中には石切丸と小狐丸もいた。

張り詰めた空気の中三人の前に正座すると、

「よく戻ってくれた。すまなかった」

「申し訳ありません、小狐のせいで慧さんを苦しめてしまって」

「俺が守ってやると言ったばかりだったのに、ツラい思いをさせてしまったな」

石切丸以下私を叱るどころか謝罪になってしまっている。

俯いていた顔を上げると、

「怖かっただろう?」

言ってくれる石切丸の顔は優しい。

「叱らないのですか?」

「何故?」

「…私が勝手に帰ってしまったから」

そのせいで鶴丸たちに怪我をさせ、みんなを泣かせ、悲しませたのだ。

「慧さんが私たちの呪縛から逃れるには元の世界に戻る、それしかないからね」

「お主は逃げた、と思っているだろうがそれで正解だ」

「ここ数日、慧さんの気は異常なほどに高まっていました。そして、その原因は他でもない私たちです」

三人の言っている意味が判らない。

「慧を抱き、気を遣らせたのは俺たちのせいだ。慧は何も悪くないのだぞ」

「…」

「慧さんを壊してしまうほどに抱いて、他の何も知らない男士を昂らせてしまったのは紛れもなくこの小狐のせいなのです」

小狐丸の立っていた髪がしゅんと下がってしまう。

「大倶利伽羅に聞いた。お主に無理矢理手を出そうとしたと」

「それ、は…」

「言っただろう?君はもう私たち付喪神の贄なのだから拒むことは出来ない、と。私たちのように事情を知っているものたちとは違う、ただ欲のままに迫られたのでは恐怖の方が勝ってしまったのでは?」

言われて目が潤む。

そこへ、

「慧が、帰ったのは伽羅坊のせいじゃない。俺のせいだ」

鶴丸がまだ傷の癒えてない身体を引きずって現れた。

後ろには光忠と清光もいる。

「俺が、慧の望まないかたちで抱いたから…」
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