第13章 まばたき
「ありがと…」
「俺は報告に来たんだ。さっさと済ませたいだけだ」
半ギレの状態で報告を始める大倶利伽羅。
慌てて記入して顔を上げると大倶利伽羅の顔がすぐ目の前に。
「え?」
何?と問う間もなく唇が合わさっていた。
一瞬離し、私の目を睨むように見つめたあと、今度は角度をつけて重ねられる。
大倶利伽羅の胸に手を当てて押し返そうとしたが、虚しく後ろに敷いたままになっていた布団に押し倒された。
「っっ…」
私の身体に体重をかけながらひたすら口づけを繰り返す大倶利伽羅。
どうしよう。だんだん意識が…。呑まれる。
相手は付喪神だ。
私をその気にさせるのは容易いことで。
どうにも出来ずにいる私の先程結び直したばかりの帯に手を掛けて緩め始める。
「伽羅、さっ」
抵抗も虚しく着物を肌蹴させられた。
「俺はあんたを見てるとイライラするんだ。誰にでもいい顔してヘラヘラと…!!」
無理矢理ブラトップを捲り上げ露出した乳房を力任せに掴む。
「痛、いっっ」
「どうせ加州以外にもそうやって色目使って脚開いてたぶらかしてんだろ?国永だってあんたを慕ってるのに…」
「やめっっ」
涙目になりながら必死で抵抗し続けていると、
「伽羅坊やめろ!」
鶴丸が部屋に入ってきて大倶利伽羅を剥がした。
そしてバキッと心地よい程の音が響く。
「鶴、さん?」
殴られた大倶利伽羅は鶴丸を睨み付けている。
「国永もこんな女の肩をもつのか?」
大倶利伽羅の声は怒りで震えている。
「こんな女って、俺たちの主だろ?」
「お前だってこいつのことが好きなのに、こいつはお前の気持ちなんか知らんふりで弄んで…」
「慧は知ってるんだ!俺の気持ちなんてとっくに。その上で俺を受け入れてくれてる」
鶴丸が言い切った。
「は?」
「慧は俺ともそういう関係だ。そこまで言えば判るよな?」
鶴丸の声にも少し怒りが混じっている。
その怒りは一体誰に何に対するものかは判らなかったけど。
「伽羅坊、すまない。殴るつもりはなかったが慧を悪く言われると止められなかった」
大倶利伽羅を引き起こし、謝罪する鶴丸。
「慧の審神者力を上げるために必要なことなんだ。そのお陰でこの本丸は強く、怪我人も少なくなってる」
「嘘、だろ?」