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夢より素敵な 3.5次元

第13章 まばたき


「慧ちょっといいか?」

デザート代わりのホットケーキ作りが終わり、後片付けをしている私に、蜂須賀が声を掛けてきた。

広間にはもう短刀は居ない。

「今朝は着物着てたろ?着替えたのか?」

「あー、汗かいてお風呂入ったら着付けられなくなっちゃって」

机を布巾で拭きながら返すと、

「着付け出来ないのか?」

「お恥ずかしながら」

よしっと拭き終えた私に、

「あれだけ似合っているのに勿体ないな。俺が教えようか?着付けが出来て損はないだろう」

蜂須賀が言ってくれる。

まぁ確かに、簡単には出来た方が何かと助かるかもしれない。

「じゃあお願いします」

「慧の部屋に行けばいいか?」

「そうですね」

布巾を片付けて蜂須賀と審神者部屋に向かった。

箪笥を開けると、

「ずいぶんあるんだな」

覗きこんでくる。

「上からの支給品みたいです。こないだまで知らなかったんですけど…」

言いながら1枚選び、長襦袢とかその他いつも清光が用意しているようなものを出して並べた。

「自分で着れるようにならないとだから、まずは襦袢からだな」

言われて着ている洋服を脱ごうとすると、

「待て、ちょっと待て」

慌てて止めて背を向けた。

清光にやってもらうときは当たり前のように脱いでいたから蜂須賀を困らせてしまったようだ。

「あのー下着は…」

「っ、着けたままでいい!!というかいつも着ていないのか!?」

「ラインが出るからダメだって…」

あちらを向いて僅か顔を赤らめている蜂須賀から許可が出て、下着の上から長襦袢を羽織った。

「どうしたらいいですか?」

「本当に何も知らないのだな」

振り返って直視しないように襦袢を合わせた。

そして紐の結び方をまず教えてくれる。

そこからは淡々と進んでいき、なんとかいちばん簡単だという帯がひとりで結べるようにはなった。

「どうですか?」

「まぁまだ甘いがこれも慣れだからいいだろう。もう一度やってみるか?」

そう言って蜂須賀が帯に手を掛け緩めたところで襖が開いた。

「慧ちゃん仕事…って蜂須賀?なにやってるんだ!!?」

完全に気まずいタイミングと状況。

「すまない、失礼した」

出ていこうとするので、

「あ、仕事します!ちょっと待ってください」

慌てて長曽祢を引き止めた。
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