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夢より素敵な 3.5次元

第12章 BE IN SIGHT


「にっかりさん、ありがと」

「っどうして!?」

「にっかりさんの優しさだったんでしょう?怖がってごめんなさい」

頭を下げると、 

「僕の主はこんな突拍子もない捉え方ばかりをする。だから離れられないし守りたくなるんだよ」

そう言って私の頭を撫でてくれた。そして、

「三日月さん、僕はルールを破ったからね。暫く僕の番はなくて構わないよ」

そう言ってにっかりは部屋から出て行ってしまった。

「…」

「大事ないか?」

「…はい。平気です。ありがとうございます」

近づいて来て隣に座り私の肩を抱いて宥めてくれる三日月。

「すまぬな、俺がすぐに助けてやれず、慧にも青江にもツラい思いをさせてしまった」

青い三日月の浮かぶ瞳が私を見つめる。

そして、ゆっくりそれを隠すように瞼を下ろすと私に口づけた。

先程までの頭痛が驚くほどに消えていく。

「頭痛がする度にお主の気は乱れる。酷ければ酷いほど荒れる。だが、そこに至るまでのお主の出す力はこの本丸に満たされ続けていて、男士たちを昂らせるのだ。青江にはそれが手にとるように判ってしまうのだろうな。もっと俺が気を使うべきだった」

三日月はふと肩を落とした。

「私も、ブレないようにもっと頑張ります。おかしいときは容赦なく叱ってください」

「そのように気張るな。慧は慧のままで居ればいい」

三日月の言葉は優しい。

「なんだか私たちみんな不器用ですね」

「やもしれんな。…しかし慧その格好はどうした?燭台切の趣味か?」

「…いえ、自分で着ました。この部屋にあったので…」

今さらだがベビードールの胸元を布団で隠す。

「そうか。次の俺の時にもぜひ着てくれ」

満面の笑みで言ってくれた。きっと私がこれ以上気に病まないための三日月の気づかいだろう。

「じじいは戦闘でくたびれた。ここの風呂に共に入って行ってもよいか?」

「そうですね。背中、流しますよ」

私も汗と精液、愛液なんかでベタベタの身体を洗いたかったから了承した。

そして、今度は自分でシーツを取り替え、先程まで着ていたベビードールを自分で洗って干した。

さすがに見られるのは恥ずかしかったしね。

空腹を感じた私は厨に向かった。その道中にっかりは大丈夫だろうかと、そればかりが気がかりだった。
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