第1章 プロローグ
「ごめんって!」
畑で清光が3人で圧力を掛けたと言っていたことと関係しているのだろう。
だとしたら、
「堀川くんごめん!みんなでお風呂入ろうって言ったの私…」
「えぇぇぇぇ!!!」
矛先を向ける場所を失ってうなだれる堀川。
「なっ!?お前ら主と風呂とかそんなことしてたのかよ。オレ聞いてねーぞ!!」
「和泉守に言うわけないじゃん」
べーっと清光が舌を出した。
「いや、お湯濁ってるから見えてないつもりでいたんだけどさ、案外見えてるって今日知って…」
恥ずかしかったぁと言えば、
「清光さん!!?なんでばらしちゃうの??絶対安定さんキレますよ!!」
「やっぱそう思うよね。何てごまかそう…」
更に堀川が口調を荒らげ、清光が悩み始める。
「せっかく粟田口とかにも圧力かけといたのに…」
ぶつぶつと堀川がこぼしていると、スッと手入れ部屋の扉が開いた。
「…私の弟たちに何をしたんですか?」
貼り付けたような笑顔で現れる一期。
「やばっ、安定よりも鬼が出た!」
「逃げなきゃ!お覚悟される!!」
清光と堀川はドタドタと音を立てて走り去って行った。
「主、報告は後ほどお部屋に参ります。…加州殿堀川殿お覚悟!!」
刀に手を掛け走り始める一期。
「一期さん!!刃物はいけません!!絶対に抜かないでよ!!」
その背中に大声で叫んでおいたが聞こえたのかどうかは判らなかった。
「あーぁ。やべぇの怒らせたなあいつら」
後ろから声が聞こえ、振り返ると腕組みをした和泉守。
「もーなんでこうなっちゃうんだろ」
「主はなんでか知ってんのか?」
「全部はよく知らないけど、なんとなく、かなぁ」
「つーか、いくら濁り湯だからって普通あの3振と風呂入るか?」
ないわー、と首を振る和泉守。
「…だっていつも私がお湯に浸かってから入って、私より先に出てくれてたし、他の男士が来ないようにもしてくれてたから…いいかなって…」
私が言うと、盛大に溜め息をつかれる。
「あいつら主安心させて絶対ガン見してたぞ?」
「まじかぁ。こんなババアの弛んだ身体見たって面白くないだろうに…」
なんの興奮さえも与えてあげられない。一体誰得?
「…言うほどでもねぇだろ」
そう言って和泉守は私の左胸を掴んできた。
「ちょと!!」
「案外興奮してたと思うぜ?」