第12章 BE IN SIGHT
「あー…それは今着るやつじゃないね」
出てきたのはベビードール。
「だよな。完全に致すとき用だろうな」
そっとその扉を閉めた。
薄々勘づいてはいたけど、やはりラブホ、というかそういうことになるのを容認しているということだろう。
「何か取ってこようか?加州呼ぶか?」
「出陣清光も一緒でしょ?適当な洋服持って来てくれたらそれでいいよ。お願いしてもいい?」
「判った。少し待っててくれ」
とりあえずと鶴丸は昨夜着ていた着物を着て、部屋から出ていった。
動けない私はベッドになんとか座ったまま。
案の定熱も上がっていて頭がぼんやりしている。
鶴丸は気づいていたのだろうか。
多分時間が立てば動けるはずだけど、今はやっぱり無理そうだ。
暫くぼんやりと待っていると、やってきたのは私の服を持った光忠だった。
「わぁ、すごいね」
入るなりそう言う。
そりゃそうだ。ここを初めて見たひとは全員そうだった。私もだけど。
「鶴さん出陣するからって代わりに届けにきたよ。朝ごはんもね」
手渡された洋服を広げ、ワンピースだったことに安心しながら下着とそれを身につけた。
「大丈夫?腰痛むって聞いたけど…」
「鶴さん絶倫すぎ…」
小さくため息をつくと、
「慧ちゃんの前ではそうなっちゃうの仕方がないと思うよ?昨日のは特に、ね。…薬研くんに湿布とか貰ってこようか?」
「ありがと。でも多分すぐに動けるようになると思う」
自分の腰痛の癖は知ってる。
子どもが小さかったころは、毎日抱っこしてたせいで毎朝腰痛だった。
だけどそれも1時間くらいすれば治まっていたから。
「とりあえず今日は僕が近侍だし、ここで仕事する?」
「それは…イヤかなぁ。仕事は審神者部屋行くよ」
なんとなくこの部屋は寝室、審神者部屋は仕事部屋、と役割を分けておきたかった。
「うん判った。とりあえずご飯食べなよ」
トレーをベッドに置いてくれて、私もそれに手を伸ばす。
食べやすいようにおにぎりにしてくれたようだ。
食事を摂って動けるかな、とベッドから降りると無事に立つことは出来た。歩けそう。
「ありがと光忠。もう大丈夫そう」
「そう?無理しないでね?」
「審神者部屋まで移動するだけだから」
笑ってトレーを持ち、寝室を出た。