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夢より素敵な 3.5次元

第12章 BE IN SIGHT


「いつまで寝てるんだい?」

呆れたような声で目を開けた。

眠りについてからまだ2時間くらいしか経っていないと思う。

だから激しく眠たい。頭はまだ覚めない。

「慧さん、起きようか。今日も非番にするの?」

名前呼ばれた。嬉しくて口元を緩めると、

「化粧も落とさずに寝たのかい?二人ともすごい顔だよ?」

更に呆れたような声。

「着物も寝具も洗濯に回すから避けてくれないかな」

言われてノロノロと身体を起こそうとしたが、

「っっ!!」

目を見開いて固まる。寝返りすらうてない痛み。

「頭が痛いのかい?」

「ちが、ぅ。腰が…暫く動けない…」

石切丸に謝ると、

「鶴丸さん?」

矛先が鶴丸に向いてしまった。

「恐れていたことが起こったね」

石切丸が困ったように言うが早いか、身体を起こした鶴丸が私を抱えあげた。

「ちょ、鶴さん?」

「すまん。とりあえず風呂だ。非番にはしない。俺ひとりでも出る」

私を連れて露天風呂へ。

身体を洗い、お互い口紅でべたべたの顔を洗い流した。

湯船に浸かると少し腰の痛みが引くような気がする。

「痛むか?」

「今日はなかなか歩き回るのに苦戦しそう」

苦笑いすると、

「昨夜慧を連れ回ると約束したばかりなんだがどうも滾ってな。戦わないと収まりそうもない」

「無双になった?」

未だに無双の意味がよく判っていないが、皆がそう言っているからそうなのだろう。

「無双…なるほどな。驚いた」

「出陣お願いしてもいい?」

「任せろ。驚きの戦課を届けよう」

そう言って私を抱き寄せてキスをした。

「慧」

目を合わせて名前を呼んでくれる。

「きみに逢えてよかった」

「無事に帰ってきてね」

「あぁ。慧の元へ帰ると約束しよう」

「うん」

その言葉は強く信じざるを得ないものだった。



風呂から出てまた鶴丸に抱えられて部屋に戻ると、シーツは張り替えられ、脱いだ着物はなくなっている。

石切丸に持って行かれたみたいだ。申し訳ない。本来なら私がやらなければならないことだ。

「着替えはどうする?」

「どうしよっか?この部屋にもなにかあるのかな?」

クローゼットがあったからそれを開けてもらうと、

「まああるっちゃあるが、これ着るか?」

鶴丸が眺めながら言った。
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