第11章 Nameless fighter
「すまんが慧止められそうもない」
今度は身体を起こし、膝を掴んで動き始めた。
「もっ。あっっ!」
「もっと顔を見せてくれ」
無意識に顔を隠していた手を掴み、また口づける。
何度も体位を変え、その度に当たる場所が変わり、私の声の高さも変わった。
「もっ、鶴さ、ダメっっ」
「いいぜ、何度気を遣っても」
びくびくと痙攣するのが止まらない私に言ってきた。
「明日、立てなくなっちゃ…」
「なら俺がずっと連れ回そう」
何を言っても終わってくれる気配はない。
「主、慧、気持ちいいな」
少し上気した顔が口紅に染まっていても美しい。
拭おうかと手を伸ばすと、
「せっかく鶴らしくなったんだ。しばらくこれでいい」
また私の手首を掴み、押さえつけた。
「一回、イくぜ」
私のなかで果て、優しく抱き締めてくれた。
「慧好きだ。愛してる」
「っっ!!」
耳元で囁かれなかが蠢くのが判る。
「そんなお好みなら何度でも呼んでやる。慧」
嬉しくて涙が滲んできた。
「泣くな」
目元を拭いながら言ってくれる。
「ごめん、嬉しすぎて。私も鶴さん大好きだよ」
伝えると、
「ははっ、俺も嬉しいぜ」
言って何度もキスをした。そして、
「すまんな、まだ俺は足りない」
言ってがつがつと腰を振り始める。
「あっ!は…んっ」
突く度にピクピク震える私を面白がっているのか、わざとゆっくりしたり、止めたり。
「鶴、さんっっ」
「もっとって言えるか?」
「ぁ…もと、もっ、と欲し…」
「ん、よく言えた。偉いな慧」
飽きることなく私を抱き続けた。
「鶴さん、絶倫すぎ…」
鶴丸が漸く終わってくれた頃には空が少し白み始めていて、
「すまない。止められなかったんだ」
言って私に口付けた。
「昼までが短くなっちまうな」
言いながら私の背中をとんとん叩き眠るように促してくる。
じわじわ訪れた頭痛に耐えながら、鶴丸の腕の中で意識を落とした。