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夢より素敵な 3.5次元

第11章 Nameless fighter


「ならばこの部屋の存在をあやつらにも教えておくか」

漸く風呂から上がりバスタオルを巻きつけた状態で部屋に戻ると、

「ちょっと主、いつまでお風呂入ってんの?」

ベッドの端に脚を組んで座っている軽装姿の清光と、その向こうに石切丸。鶴丸はベッドの上で転がっている。

「すごいな、この部屋。驚いた」

「私が主と見たかったのに、余計なものまで付いてきてしまったよ」

「こっちも…」

私が自分の後ろを指差すと、にっかりはともかく三日月と小狐丸が姿を表し、

「教える手間が省けたな」

なんて笑う。

「何なんだ、ほんとに。みんな主のことが好きすぎだろう」

石切丸がため息をついた。

「非番ですることがないと主探すしかないしねー」

清光が着付けてあげると新しい着物を手に私を手招いた。

「朝は戻ってたのか?気配がなかったが」

「うん。出陣なければいいかなって。ちゃんと三日月さんの許可はとったよ?」

「そうであったな。忘れていた」

「三日月殿!?」

「まぁ、こちらにまた来てくれたということは大丈夫だったということだろう。ならよいのでは?」

相変わらず滅茶苦茶な三条を無視して清光は真剣な表情で着物を着付けてくれていた。

「主頭痛は?」

「ちょっと。まだにっかりさんのが効いてるから」

「頭痛いってことはにっかりも主に気があるってことだからね、泣いたらダメだよ」

昨日のことを言っているのだろう。

「…はい。反省してます。三日月さんもごめんなさい」

素直に謝罪すると、ぎゅうっと帯を絞められた。

「っっ!!」

「あーもぅ。頭痛くなるの俺だけならいいのに。ムカつく!」

キレながら帯を前で結び始めた。

「清光これって…」

「今日はコンプ記念に花魁にしてあげるよ」

若干皮肉を込めて言ったのだろうがそんなの聞こえない。

それよりもすごい。絶対出来ない経験をさせてもらってる。

終わり、と清光が手を離した途端さっき持ってきた荷物を掴んでドレッサーに向かい、化粧品を取り出す。

持ってる中でいちばん赤い口紅と、アイメイクにラメをがっちりのせて少し白粉をはたいた。

「おぉー」

自分でやっときながら小さく拍手していると、

「こりゃ驚いた。ずいぶん変わったな」

「髪も弄ろうか」

鶴丸が声を上げ、清光は私の意図を汲んでくれたらしくノリノリだ。
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