第10章 Beautiful life!!
「寂しかった。だから帰ってきてくれて嬉しい」
そう返すと私にキスをしてきた。
「兄弟!!やめろ」
「だって僕がいなくて寂しかったって言われたら隙間埋めてあげなくちゃ」
止めた山姥切にしれっと堀川が返した。
「みんなもおかえりなさい!本当にありがとう。お疲れ様でした」
言うと光忠が私に近づき、
「僕も主に寂しかったって言ってほしいな」
頬に手を添えて目を見つめてくる。
「光忠っ寂しかった、よ」
妙にきゅんとトキメキながら返すと、今度は光忠に口づけられた。
「ちょっとちょっと!俺の主なんだからね!?」
見兼ねた清光が割って入ってくる。
「いーじゃない。キスくらい分けて貰ってもバチはあたらないと思うよ?」
堀川が反論すると、
「それもそうだね。ならば僕も…」
今度は歌仙が私を抱き締めた。
「ほんとになんなんだ。あんたも拒否しろ!」
されるがままたらい回し状態の私に山姥切が言ったが、
「兄弟だってハグしたいくせにー」
堀川が後ろから私をドンッと押したせいで山姥切に抱きついてしまう。
「おかえりなさい」
勢いでぎゅっと抱き締めると、
「…あ、あぁ、ただいま」
ぎこちなく返してくれた。
「さぁ僕たちも着替えて食事にしよう」
光忠が促し、遠征部隊が部屋に戻っていく。
見送りながら、なんだか自分と男士たちの距離感がいつもと少し違うような気がしていた。
縁側に戻りながら、
「ねぇ物吉くん、私なんか変じゃない?」
「え!?そんなことは…ただボクも主様とキスしたいなぁって思うんですケド」
そう言って歩みを止め、私の両手を掴んでほぼ変わらない視線真っ正面からのキス。
「あー物吉っっ」
焦る清光に、
「へへっ」
照れたように笑う可愛い物吉。
やっぱり何かおかしい。
「ねぇ清光」
今度は清光に聞いてみようとそちらを向くと、清光にもキスされた。
「だーからー」
理由を、と聞くと耳元で、
「さっきので主も俺たちも素直になっちゃう魔法みたいなのがかかっちゃったみたい」
そっと教えてくれた。
「だから主は俺たちに好きって感情隠せなくてまっすぐ言葉にしちゃうし、俺たちも主に素直に好きってなっちゃうんだって」
石切丸が言ってた、と教えてくれた。
だから物吉や歌仙のあの行動、か。
私も確かにずいぶん素直な気がする。