第10章 Beautiful life!!
「そっか。それは嫌だよね」
まぁだからこそ清光だけでいいって思うんだけど。
それでも他の男士に抱かれれば頭が痛くなるし、裏を返せばそれが私を思ってくれてるってことになるからまだ耐えられるんだけど。
「さっき言ってたのはほんと?毎日俺の浴衣着たいって」
「うん。だって私一応女だもん。そりゃいちばん好きなひとに抱かれたいよね」
「そうだね。主は可愛い女の子だもんね」
へへっと清光が笑った。
「ぬしさま、報告よろしいですか?」
襖の外から声が掛かり、小狐丸が顔を覗かせた。
「うん、お願い」
私の隣にいる清光に怪訝な顔をしたが、淡々と戦課を報告してくれる。
そして、
「ぬしさまは三日月殿がお嫌いですか?」
聞いてきた。
小狐丸は三日月にいちばん近い男士。
下手なことは言えないけども。
「三日月殿が嘆いておりましたよ?ぬしさまが冷たい、と。まぁ三日月殿は若干空気を読むのが下手くそなので、ぬしさまの思わないところでの不用意な発言等もあるでしょうが…」
清光は黙ってそれを聞いている。
「ねぇ、三日月さんは私のことが好きだと思う?」
思いきって聞いてみた。すると、
「うん」
「はい」
声を揃えて清光と小狐丸が即答する。
否定されるものだと思っていた私は、目が点になってしまう。
「てかなんで?この本丸には主を好きじゃない男士はいないんだよ?」
「そうですよ。あんなに真っ直ぐぬしさまが好きだと表しているじゃないですか!!?」
「え?どこが?どのあたりが?」
ふたりの言ってる意味が判らずパニックになる。
「あの天下五剣が主にだけ目尻を下げてるんだよ?」
「三日月殿は嫌いな人には指一本たりとも触れやしませんよ。ぬしさまとはそれ以上の関係でしょう?」
なぜだか清光と小狐丸が三日月を擁護し始める。
「…だって、私頭痛くならないもん」
そう言うと、小狐丸は盛大に溜め息をついた。
「ぬしさま、その頭痛を治せるのは誰なのです?」
「…三日月さん」
「ならばぬしさまが痛みを感じる前に消すことだって可能だとは思わなかったのですか?」
小狐丸の言葉に一瞬疑問符が浮かび、そして消えた。
「え!!?」
私の勘違い?私が勝手に思い込んで勝手に傷ついて凹んでたってこと?
「バカみたい…」
溜め息しかもう出てこない。