第10章 Beautiful life!!
「…主?」
明らかに困惑している清光。
「今夜くらいならよいのではないですか?私から他のみなさんに伝えておきますよ」
一期が言ってくれる。
「でもっ!!」
「主の心の方が私は心配です。壊れてしまうと戻らないかもしれませんよ?ならば私がその盾になりましょう」
一期が言い切ってくれた。
「加州殿、主をお部屋まで連れて行って差し上げたらどうですか?主も夕食の支度まではまだ時間があります。休憩なさってください」
「…ぅん。わかった。主行こ?」
私の手をとり審神者部屋へと向かう。
部屋につくと、ほっとして身体の力が抜けた。
「大丈夫?」
「うん。ごめんね、ありがと」
無理やり口角を上げて言ったが、
「無理しちゃやだよ」
清光が私を抱き締める。
「一期、凄いね。俺にはあんなこと言えないや」
「ねぇ清光」
「なぁに?」
「好き。清光が、好き」
「うん。俺も主が好きだよ?」
言葉にすると、目頭が熱くなる。涙が出てくる。
そんな私の涙を指で拭って優しくキスをしてくれた。
「…仕事しなきゃなのにな」
今から各部隊長が報告にくるだろう。
予定ではここにいる清光と小狐丸、そして石切丸だ。
いいのやら悪いのやら、といった顔ぶれ。
「今日は俺が近侍の代理するよ」
どうせ三日月来ないでしょ?と言いながら机に仕事道具を広げ始めた。
「てか、来ても俺傍にいるし」
そう言ってまずは俺から、と報告を始めた。
やはり今日も怪我人はいない。本当にすごい。
気になるのは無双だと言っていた石切丸。
「清光、無双のときってどんなだった?」
「んー、とりあえず俺だけめっちゃ強かった。あと今剣拾った」
清光の答えはずいぶんざっくりとしていた。
まぁそんなものか。だとしたら石切丸もそんなものかもしれないな。
「なんで?」
「今朝石切さんも無双になってたっぽいから…」
言うと清光が複雑そうな顔をする。
「主、石切丸も好きなの?俺だけじゃないの?」
「え…。好き、というか、まぁ。本丸のみんな好きだけど…」
歯切れの悪い私に、
「好きなのも無双も俺だけでいいじゃん!」
頬を膨らませる。
「でも、だとしたら私毎日好きでもない人に抱かれてることになっちゃうんだけど…」
それはあまりにも悲しすぎる。
少しはそういう気持ちを持っていたい。