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夢より素敵な 3.5次元

第10章 Beautiful life!!


三日月と並んで三日月の腕のなかで眠っていると、

「戻りましたよ」

障子が開く音がし、小狐丸が入ってきた。

「おかえり、なさい」

目覚めて身体を起こそうとしたが、三日月が離してくれない。

もぞもぞと身体を捩っても離してくれない。

私裸なんだけど…。

そうこうしていると、小狐丸が傍まできてしゃがみこんだ。

「三日月殿、ぬしさまが困ってらっしゃる」

私を抱き締めている腕を掴む。

「おや狐。帰っておったのか」

片目を開けてわざとらしく言う三日月に、

「判っていたでしょう?」

小狐丸の目は笑っていない。

「小狐丸、俺は今ぴろーとーくというものをしているのだ。邪魔をするな」

「眠っていただけじゃないですか!それはピロートークとは言いません」

三日月は私を離す気がないのか、更に腕に力を込めてくる。

「三日月殿」

「つまらんやつよの。冗談も通じぬ」

そう言って漸く私を離す気になったらしい。

三日月の腕が緩んだ。

肌を隠しながら身体を起こし、そう言えば頭が痛くないことに気づいた。

あ、そうか。

やはり三日月は私に興味がない男士なんだな、なんてぼんやり考えていると、ほんのり鼻の奥がツンと痛んだ。

以前痛くならなかったのもそういうことだ。

私への思いがない。本丸を守るためのただの作業。

そうだよね。

テクニックがあれば単純な私の身体をどうにかすることなんて容易いことだよね。

少しでも愛情があるものだと勘違いしていて、泣きそうになる自分を抑えながら服を身につけた。

「あー、お腹空いたな。私、ご飯食べに行きますね」

わざとらしくそう言い、三日月の方を見ないように頭を下げ部屋を出た。

カレー、みんな食べてくれたかな。口に合ってたらいいなぁ、なんて自分の気持ちを別事を考えることでごまかした。

広間を覗くと、小狐丸と同じ部隊だった男士が戦闘服姿のまま昼食を摂っている。

「珍しいもんじゃのう」

「僕は好きだよ」

口々に感想を言いながら。

覗いていた私に気づいた和泉守が、

「おー、主。今日のは主が作ったって聞いたがこれまさか長州の食いもんじゃねぇよな?」

大きな声で言ってくる。

「違うよ。インド発祥ですっかり日本の料理」

「そうか。旨いぜ」

どうやらカレーはお気に召してもらえたようだ。
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