第10章 Beautiful life!!
今日は料理するし、自分なりに動きやすいほうがいいなと清光が部屋に来る前に私服のワンピースを手に取り、下着も持って風呂に向かった。
あとで祈祷場も拭き掃除しに行っとこう。
半日に一度抱かれると半日に一度風呂に入らなきゃなんない。
好きだからいいけど、結果時間の使い方的にはどうかと思う。
身体を洗って、熱が出たんなら長風呂はよくないかなぁとお湯に浸かるのはやめておくことにした。
服を着ると雑巾とバケツを持ってとりあえず祈祷場へ。
昨日は暗くてよく見えなかったけどやはり神聖な場所だ。
正しい作法なんて判らないけど、一般的な二礼二拍手一礼をしてみた。
そして、石切丸に申し訳ないないことしたな、と思いながら丁寧に床を拭いて祈祷場を出た。
気温も太陽も上がり始めている。
厨に向かうと、そこは既に閑散としていて、物吉が片付けをしていた。
「みんなは?」
「着替えに行きました。わけがわからない、と山姥切様と歌仙様は文句も言っていましたよ」
なんて教えてくれる。
そうだよなぁ。光忠以外は完全にとばっちりだもんな。
「なんか悪いことしたなぁ」
「何があったんですか?」
「昨日出陣計画立てる前に近侍だった伽羅さん怒らせちゃって。遊ぶ暇があるんならひとりで厨やれってみんなを長時間遠征に組んじゃったんだよね」
「ボクは?」
「物吉くんは伽羅さんの最後の優しさだと思う」
さすがに完全ひとりにしないあたりは、有難いけど。
「主様、朝ご飯まだですよね?どうぞ」
厨の端に椅子と食事を用意してくれた。
「今日は和装じゃないんですね」
「料理は慣れた格好じゃないと、効率悪くなりそうだったから…」
言いながら朝食を摂っていると、
「主!なんで部屋にいないの!?」
清光が駆け込んできた。
「なんで自分の服着てるの?着付けは?」
頬を膨らませながら文句を言ってくる。
「今日は勘弁して。私厨当番になっちゃったから」
「はぁ?主が当番?なにそれ。超変!うちの本丸超ブラックじゃん」
ブラックになるかは知らないけど。
「もーー。手伝ってあげたいけど俺出陣だし」
「大丈夫だって。清光は清光の仕事してきてね」
「…判った。じゃあ、行ってくる」
赤と黒の戦闘服を翻して清光は厨から出て行った。
「嵐のようでしたね…」
食器を片付けながら物吉が言った。