第1章 プロローグ
着替えを取りに行ったみんなを待たず、いち早く風呂場へと向かう。
脱衣所で汚れた服を脱ぎ、持って帰るのを忘れないように袋に詰めると、一応タオルで身体を隠した。
そうして誰よりも先に洗い場で身体を洗い汚れを落として浴槽に浸かる。
濁り湯だからとタオルは頭に巻いた。
「主いーい?」
「いーよー」
清光の声に返事をすると、扉がカラカラと開き清光たちが入ってきたから、そっちの方を見ないように向きを変え景色に視線を投げた。
騒ぎながら身体を洗い終えた清光たちがお湯に浸かったところで漸く視線を内側に戻すと、小狐丸はまだ腰までしか浸かっておらず思わず凝視してしまう。
「ゎぁ…」
「ぬしさま、どうされました?」
「小狐丸いい身体してるねー」
素直に感想を述べた。
割れた腹筋に引き締まったボディ。余計な脂肪分はゼロ。
肩まで浸かってしまっている石切丸とにっかりは解らないけど、胸筋が見えている光忠もかなりいい身体をしてそうだ。
「ねーねー俺はぁ?」
立ち上がろうとする清光に、
「うん、わかった。清光もいい身体だから」
慌てて答えてやめさせた。さすがに立ち上がると筋肉以外のものを見てしまいそうで。
「主もいーい身体だよねー」
「あんま見るもんじゃないよー。てか見えないじゃん」
白濁しているから全くと言っていいほど見えないけど。
「それが案外見えちゃってたりして」
「え?」
清光以外に視線を流すと、みんなスッと目を反らしてしまった。
「そうなの?」
「まぁ、判るよね」
「僕たち普通の人間じゃないしね」
そうだったのか。濁り湯だからと安心していたのは私だけだったとは。
「まぁいいか。キスされるよりは恥ずかしくないし。たぶんなんとなく」
私だっていい身体を見せてもらってる訳だし。
「おかしな主」
開き直った私を光忠が笑った。
「ねぇ、俺主とお風呂入る度にすごいドキドキするんだけど…」
「加州さん、それが感情というものなのでは?」
「これも感情なのかぁ。もっと見たいとか触りたいとかっていうのも?」
「まぁ、そうですね」
素直な清光の疑問に石切丸と小狐丸が答えた。
「僕のもそうなのかな?胸の奥と身体の芯が疼く気がするんだ」
にっかりがお湯から出した掌を見つめながら言った。
「きっとそれが性欲っていう反応だと思うよ?」