第1章 プロローグ
「貴方はまたどうして…?埋めますよ?」
ばさりばさりと音を立てて清光に土が掛けられていく。
「ちょ、生き埋めになっちゃう…っっぷ」
止めようとした私にも勢いで土が掛かってしまった。
「小狐丸さん!?主っっ」
「あぁ、ぬしさま…!!」
清光の身体を庇うように抱き締める私に慌てる石切丸と小狐丸。
「大丈夫?清光」
「んー、平気。泥だらけになっちゃったけど」
ぺっと口に入った土を吐き出しながら言う。
私も頭から土にまみれてるし。
「…ここ終わったらみんなでお風呂行く?」
こりゃいよいよ私も流したい、という意味を込めて言うと、
「…ぬしさまと風呂?」
「僕かっこよくいられる自信ないけど…」
行く、という意思を伝えてくれた。
「私たちもいいのかい?」
心配そうに聞いてくる石切丸に、
「…さっき光忠に聞いた話だと、この本丸の男士たちはみんな私に好意をもってくれてるって捉えていいんだよね?一緒に入ることに嫌悪感がないのなら一緒にお風呂は楽しそうじゃない?私ここ露天で最高だから堂々と入りたかったんだよね」
いつもは他の男士と鉢合わせないように清光たちと入っていたからそう返すと、
「好意なんてもので済まされないけどもね」
困ったように顔を歪める石切丸。
「主は僕たちとお風呂に行くのは平気なのかい?」
「…もう清光たちとは何度か入ってるし、濁り湯だし、ババアの弛んだボディなんて誰も興味ないし見ないでしょ」
自虐的に言う私を、
「主はさっきから自分のことを卑下しすぎだよ?」
光忠が咎めてくる。
「いーからいーから。そうと決まれば早く作業終らせちゃおう?」
清光が更にスピードを上げて鍬を振るった。
光忠は野菜の収穫の方を手伝い、みんなでほどよくいい汗をかいたところで漸く内番終了となり、そのままぞろぞろ屋敷の方に戻った。
「着替えとってくる」
審神者部屋近くの縁側まで回り込み、着ていた泥だらけのジャージの上を脱いでズボンの土を払った。
「わぁ、やっぱり大胆だね」
ジャージの下にはカップ付きタンクトップを着ていたのだけど、それすらもにっかりには大胆と捉えられてしまうらしい。
「みんなも着替え取ってきなよ」
言いながら縁側から部屋に上がり清光の言う通り置いたままにしてあった下着とワンピースを手に取った。