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夢より素敵な 3.5次元

第9章 大袈裟


一期が三日月に頭を下げた。

私はまだ三日月に抱えられたまま。

「三日月、さん」

「なんだ?」

「下ろしてください」

「無理だな」

そう言って私をさらに引き寄せる。そして、

「お主の処置でどのくらい保った?」

「2時間、といったところですかね」

「なるほど、な」

三日月は私を抱えたまま揺れる。

「ならばとりあえず最悪俺が出陣していてもどうにかなる、か」

「ですが三日月殿!!?」

「仕方あるまい」

三日月の目がキラリと青く光った。

「主はどうもすぐに俺を頼りたくないようでな。だとすればそれなりの対応が必要だろう」

三日月の言葉が刺さる。

やはり何もかもお見通しのようだ。

「一期一振、主が好きか?」

「…はい。主には信じていただけませんでしたが」

「そう、か。主、そう言っておるぞ?信じてやったらどうだ?」

優しく微笑む三日月。

「…」

「構いませんよ。信じていただけるまで毎日お伝えします」

案外頑固らしい。一期がそう言った。

「ところで明日の計画はどうなった?」

先程決めた予定を三日月に伝えると、

「大倶利伽羅やりよったな」

なんて笑う。いや、笑えないからね?

「では明日の昼は俺が相手をしよう。構わんな?」

一瞬作業感が蘇って怖くなりかけたが、

「…はい」

何かあったとき安心だ、と受け入れた。

「私でよければ手伝います」

一期が心配して厨当番に名乗りを上げてくれた。

「とりあえず審神者の仕事が終わったのであれば夕食までゆるりと過ごすとよい」

「わかりました」

三日月の腕から抜け出ようとしたがどうにも力が込められている。 

「三日月さん?」

「何、夕食まで俺とこうしていようではないか。一期一振はどうする?ここに居るか?戻るか?」

三日月の問いに、

「私は戻ります。弟たちの面倒もありますから。失礼致します」

そう言い残して去って行った。

「何故お主はそのように頑なか」

「頑な?」

「俺と口づければすぐにでも楽になれるというのに」

元々偏頭痛持ちではあったから、ある程度の痛みなら我慢できる、というのもある。

「…なんか毎回三日月さんにキスしてもらわないと治まらないっていうのは、弱味を握られてる感じで…」

「もしも加州ならどうだ?」

「すぐ行きます」

即答すると頬を軽くつねられた。
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