第9章 大袈裟
光忠は相変わらず適当な理由を尤もらしく言うのが上手い。
「そんなのただの推測だろう」
「そうだよ。だけどそう思えばしっくりこないかい?主は何もしてないと思うよ」
ねっ、と目を瞑ってきた。
「ぅ…うん。私はただの審神者だから…」
「そうか」
それだけ言って大倶利伽羅はそれ以上は聞いてこなかった。
「伽羅ちゃん近侍大変じゃない?」
「どうしてだ?」
「だって、伽羅ちゃん主とふたりっきりだと意識しちゃって喋れなくなっちゃうでしょ?」
「はぁ???」
光忠の言葉に珍しく大きな声を上げた大倶利伽羅。
「僕、いようか?」
「いらない」
「そんなこと言わずに」
「帰れ」
目の前で面白がってる光忠とマジでキレそうになってる大倶利伽羅の言い合い。
「あの、もう報告書も書き終えたし終わっても…」
ついそう言ってしまったが、
「まだ明日の出陣計画が立っていない」
もう少し近侍を続けてくれる気はあるようだ。
「…明日光忠は遠征だ。しかも長時間のやつ」
と遠征プランを立て始める。
「えぇ!?僕遠征行ったら厨当番どうするの?」
さらさらと紙に書き込んでいきながら、
「料理は主にやらせればいい。一期一振と手を繋いで散歩する暇があるらしいからな」
機嫌が悪い原因これか。どうにも遊んでいたと思われているようだ。
「わかった。じゃあ私が光忠の代わりに厨に入る」
主って書きなよと促してやった。
そっちがその気ならこっちもやるしかない。
「主!?」
「大丈夫。私、主婦だから」
意気込むと、
「なら遠征にはあと堀川国広と歌仙兼定、山姥切国広…」
なんだって?厨担当ほぼ遠征!?
「物吉貞宗だけはおいといてやる」
そう言ってほかの部隊編成にとりかかった。
「と、とりあえず朝食は僕やるから、昼食と夕食、だね」
光忠も戸惑っているようだ。
やばい。このままだと昼食前の時間がとれないかも。
焦りながらも一度言ってしまったことだ。
受けてたとうじゃないか。
これで実験終了でも悔いはない。
なんかだんだん頭痛くなってきた。
あれ?でもこれって精神的なものじゃないよね。
なんかもっと物理的なやつ。ガンガンする…。
「じゃあ僕はこれで」
なんとか私と大倶利伽羅は大丈夫だと思ったのだろう。
光忠は空いた皿を持って出ていってしまつた。