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夢より素敵な 3.5次元

第8章 矛盾という名の蕾


その晩、新しく来た男士を祝うための宴が開かれた。

今剣と岩融は相思相愛のようでずっと一緒にいる。

その姿もまた微笑ましかった。

「ねぇ浦島くん」

そんな宴も終わりに近づいた頃、にっかりが浦島に声をかけている。

「うちの主はね、脇差を侍らすのが好きなんだよ」

なんていらん情報を与え始めていた。

「にっかりさん?何を教えているのかな?」

「おや、主。ここでのルールのことだよ?お酒を嗜むときには脇差を侍らせる。そうだろう?」

「違うよ、浦島くん。鵜呑みにしないでね」

きょとんとしている浦島に訂正をかける。

「じゃああれかい?男士を脱がせて指先で弄ぶあの…」

「!!!」

にっかりの言葉に浦島が目を見開いた。

「腹筋のことだよ。ほら、浦島くんのにも触れたいんだろう?」

なんてことを言うんだ。

「にっかり青江、それに主。浦島に何を吹き込んでいるんだ?」

振り返ると恐ろしい顔の蜂須賀がいた。

ここの男士はみな弟のことになると急に鬼のようになる。

「蜂須賀兄ちゃんこの人たちヤバい?」

「ヤバくない!」

蜂須賀に聞いたのに私が答えてしまった。

「自ら否定するやつほど怪しいよね…」

「もー、にっかりさん!?なんで…」

「ふふふ、笑いなよ。面白い冗談だろう?」

言いながら去って行った。

「浦島、にっかり青江はともかく主はまともだ。お前が慕うにふさわしい。心配はいらない」

「そっか、わかった」

蜂須賀が訂正を入れてくれ、なんとか私の変態騒動は収まった。

そういえばもうすぐまた晩酌タイムが始まろうかというのに先ほどから大般若の姿が見えない。

確か宴の間はいたはずなのに。

三日月に後で行けって言われた手前、一声掛けておきたかったのだけど…。

「大将、いたいた」

広間の入り口で薬研が私を呼ぶ。

何だろうと近づくと、

「頭痛薬だ。使ってくれ。あと、大般若が後で部屋に来るよう言ってたぞ」

「あ、うん。ありがとう」

薬を受け取ってそのまま広間から出た。

みんな呑み始めてしまったら私がいなくても気にならないだろう。

毎晩参加する規則もないだろうし。

とりあえず呼び出されたからには向かわなくては。

ちょうど誰もいなかったのでチャンスとばかりに風呂に入り、浴衣ではなくパジャマを着て大般若の部屋へと向かうことにした。
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