第8章 矛盾という名の蕾
「えらくきっちり着付けられてるな」
「清光が着付け担当だからね」
「そうか。洋装の方が楽なんじゃないか?」
「そりゃそうよ。私着付けできないからやってもらわなきゃいけないんだもん」
そこで鶴丸の手が止まる。
「着付け出来ないのか?」
「うん」
「ならこのままでするか」
着物の帯をほどくのを諦め、合わせを少し緩めた。
「全部脱がすと俺も着付ける自信がない」
緩めた胸元から手を差し入れて胸に触れる。
「下着は?」
「襦袢だけだって言われた。死にたい」
「そのくらいで死んでくれるな」
直に触れた先端を鶴丸の指が摘まんだ。
「んっ」
「下もか?」
「そう。死にたい」
「だから死んでくれるな」
着物の太ももあたりの合わせを開くとそちらも襦袢のみの何も隠すものがない状態で。
しかも先ほどのキスだけでかなり潤っている。
「もう指が入るじゃないか」
くちゅんと音を響かせ鶴丸の長い指を飲み込む。
「ぁ」
それだけで下腹部が異常に収縮する。
ぐりぐりと弄られると、その指の動きに声が嫌でも零れ落ちていく。
「イきたいか?」
鶴丸の言葉に頷くと、
「ならイかせてやる」
美しい金色の目で私を見つめながら指の動きを少し早めた。
「…何?」
「イくとこ見ててやる」
「やめて」
手で顔を隠そうとしたが、手首を掴まれ阻止された。
「俺は主に気持ちよくなって欲しいんだ。俺が、俺たちが主がいないとダメなように、主にも俺たちに溺れて欲しい。罪の意識は棄てろ」
目が、反らせない。
「主が快楽を感じることは悪いことじゃあない。素直になれ。怖くないから」
くちゅくちゅと音をたてて弄っていた指の動きが少し変わり、私が一番弱い場所に刺激を与え始める。
「ぁっ、やっ、っ」
「やっぱここがいいんだな?」
「んっ、だめ、だめイくっっ」
ぎゅうっと鶴丸の指を締め付けると、鶴丸の表情が少し和らいだ。
「その顔、昂るな。もっと見せてくれ」
親指で陰核を潰して捏ねながらまたなかの指を動かし始めた。
「鶴さ、ャだぁ…」
「イヤじゃない。気持ちいい、だろ?」
私を見つめたまま何度も指でイかされて、焦点が合わなくなって来た頃。
「こい」
手を引き起こされ、袴を脱ぎ胡座を崩して座った鶴丸に向かい合うように座らされた。
「このままシよう」