第7章 Can you guess what?
「何で?主は俺とだけシてれば問題ないよね?」
「…」
さっき三日月の言ってた様子だと偏るのは良くないみたいだけど…。
「あのねぇ加州くん。一体何人の男士が主を抱きたいと思ってると思う?そんなことしたら折られるよ?てか僕も折るよ?」
とんでもない会話が繰り広げられている。
「…ヤダ。折られたら主に会えなくなるじゃん」
清光が眉を寄せて泣きそうな顔になる。
「だから、独り占めしないの!主の着物は毎朝加州くんが決めて着付けていいから」
光忠が適当な案を出してきた。
「…わかった。じゃあ毎朝俺が主に着付ける。主は?それでいい?」
それでいいもなにも…。
「はい決定!今日はとりあえず光忠が選んだ着物で許すけど、明日からは俺の選んだやつ着てね!」
無理矢理決定され、苦笑いするしかなかった。
「ところで主、夕食は?」
「うん。もう大丈夫。むしろ食べたい。そろそろ仕事始めようと思ってるくらいだからね」
「判った」
光忠は私の状況を確認に来ただけみたいだ。
「じゃあね、お仕事頑張って。加州くんも邪魔しないよ?」
「はーい」
そう言って光忠と清光は出ていった。
もう午後もいいところ。早くまとめて終わらせよう。
とりあえず先ほどやってきた岩融と今剣のことから始めよう。
そして、順にやってきた部隊長からの報告を無事にまとめ上げた。
そして夕食後、嗜む程度の酒でとどめておいた私の部屋に訪れたのは三日月。
「今宵は俺が主を抱こう」
その青い目に見つめられると、抵抗できなくなる。
吐息だけが聞こえてくる中で、静かに三日月と交わった。
今までの男士と比べれば作業、といった方が相応しいくらいの行為だったが、多分、昨日から散々抱かれた私への三日月なりの優しさなのだろう。
でもどうしてか、胸がざわつく。
「主、今宵はこのくらいにしておくが、次は眠れないほどに気を遣らせてやるからな。覚悟しておれよ」
そう笑って三日月は私の部屋から出ていった。
こんな作業のような行為、頭痛を待つだけ無駄だろう。
これは実験。私がみんなとたくさん過ごすための実験だ。
だけどなんだろう。私の中の嫌な記憶がじわじわと甦ってくる。
嫌だ。嫌だ。もう嫌だ。
そう思いながら目を閉じると、目の端に溜まっていた涙が静かに流れ、枕に染み込んでいった。