第7章 Can you guess what?
熱も下がったし動けるんなら動かないと。
せっかくひと月居るって決めたのに、ずっとこんなんじゃ意味がない。
せっかく時間を気にせず居られるんだ。
しっかりしないと。
気合いをいれて立ち上がると、
「主その着物どーしたの?」
「起きたら着てた。だからわかんないんだよね」
「ふーん」
清光はなんだかつまらなさそうだ。
「私、昨日急にここでひと月過ごすって決めたじゃない?だから着替えとかあんまり持ってきてないから取りに戻りたいんだけどいいかな?」
「…だめ」
「え?」
「主が向こう帰ったら主にとっては数分でもこっちはすっごい時間経っちゃうんだよ?俺そんな待つのヤダ。前だって2時間近く待たされたんだから!」
清光が私を抱き締めて止めた。
そうなんだ。私には判らなかった感覚だ。
「ごめんね」
「服なら俺が買ってあげるから」
泣きそうな声で言う。
「そんな!気を使ってくれなくていいよ!貰ったのも置いてあるのもあるし昨日持ってきたのもあるし、なんとか着回す」
そんなやり取りをしていると、
「主、どう具合。熱はもう下がった?」
光忠が顔を覗かせた。
「やぁ、加州くんもいたんだね」
「うん。…ねぇ光忠は主のこの着物知ってる?」
「知ってるも何も僕が着せたからね」
言いながら光忠は部屋に入り、奥の箪笥を開けた。
「主用の着物も浴衣もいっぱいあったよ?」
「うわ、ほんとだ。主知ってた?」
「知らなかった…」
この箪笥は確かにここに来たときからあったけど特に必要も用もなかったので開けたことがなかったのだ。
「袴もあるよ」
光忠が引っ張り出して広げる。
「これで畑行こうよ!!俺とペアルックできるじゃん!」
清光はなんだか楽しそうだったが、
「だから私浴衣も着物も着れないんだって!」
必死で訴えてみた。しかし、
「なら毎朝俺が選んで俺が着付けてあげる」
それならいいでしょ?と緋い瞳で問ってきた。
「拒否権ないんだよね?」
「ないよー。毎晩主は俺と寝るんだから」
清光は更に笑顔になる。
私毎晩清光に抱かれるんだ…。でも清光とだけでいいなら私だってその方がいい。
しかし、
「加州くん?それはどうだろう。僕はそうもいかないと思うよ?」
そこへ光忠が意義を申し立ててきた。