第7章 Can you guess what?
薬研は私が残りの粥を食べ、薬を飲むのを見届けた後、布団に戻し報告はまた後で来ると言って部屋から出ていった。
そのまま熱に浮かされ、夢と現を繰り返している私の耳に聞こえてきた声。
「主起きてる?開けて大丈夫?」
聞き慣れた優しい清光の声。
「清光?」
ぼんやりした頭で声を出すと清光が入ってきた。
着替えているからもう帰ってきてしばらくたつのだろう。
「おかえり清光」
「うん、ただいま。少しは顔色よくなったかなぁ。ごめんね、俺が主のこと求めすぎちゃったせいで…」
具合どう?と私の額に触れる。
「ううん、清光のせいじゃないよ。気にしないで」
そして身体を起こした私の目の前に真っ白な鞘に入った短刀を差し出してきた。
「これは?」
「お土産。出陣先で拾ったから連れて帰ったんだ。ねぇ、顕現してみてよ」
「あ、うん」
出陣先で拾ってきた、という刀剣はこれが初めてではないけれど、一体どういう仕組みになっているんだろう。
今日2度目の顕現。
力がちゃんと足りればいいけど、と思いながら掌を翳した。
ふわりと眩しい光が放たれ、現れたのは髪の長い赤い大きな目をした小さな男の子。
その小さなコは私の目の前に立つと、
「ぼくは今剣。よしつねこうのまもりがたななんですよ」
自己紹介をしてくれた。
「わー、やっぱり今剣だった」
「ようこそ初めまして。ようおいでました。よろしくお願いしますね」
「はい!あるじさま!よろしくおねがいしますっ!…ところで岩融はいますか?」
「岩融…あ、さっきの」
蜂須賀が鍛刀した薙刀がそんな名前だった。
「え!?岩融鍛刀したの!?」
「うん。蜂須賀さんがやってくれたの」
「すごいな。主の方が無双じゃない?」
「私じゃなくて蜂須賀さんだから…」
「岩融いるんですか?ぼくさがしてきます!あるじさままたあとであそんでください!」
飛ぶように部屋から出ていってしまった今剣。
「これで三条派揃ったね」
清光が言った。
「そうなるんだ」
とりあえず報告書に書こう、と手近な紙にメモをとっていると、
「あのあとどうなった?」
「あのあと…」
三日月たちの部屋で話したことを思いだし、顔を歪めた私に、
「主からじゃ話しにくい内容だったのかな。後で石切丸に聞いてみる」
清光が私の気持ちを汲んでくれた。
