第7章 Can you guess what?
「苦い…」
「煎じてみることにしようか」
そう言って石切丸は私を審神者部屋まで連れていき、布団に寝かせ、煎じてくる、と厨に行ってしまった。
部屋にはもう安定も堀川もいない。
ひとりの部屋で天井を眺めながら、こんな高熱を出すのはインフルエンザ以外ないかも、なんて思う。
今日の出陣、清光と先程の薬研たちの部隊はわかったけど、あと誰だっけ?
三日月も行くんだよね、戦闘服だったし。
安定たちはどうだったか…。
思い出そうと思ったが、頭がそれを拒み私は眠りに落ちた。
しばらくして目を覚ますと、枕元には石切丸が煎じてきてくれたのだろう、薄茶色の飲み物が湯のみに入った状態で置いてあった。
熱が下がった気はしなかったのでとりあえずのんでみることにした。
「…にっがぁ」
煎じてあってもびっくりするほど苦い。
とりあえず朝起きたときよりもクリアになった頭でごちゃごちゃ考えていると、
「主、入るよ」
遠慮がちに声を掛けられ、襖が開いた。
「光忠…」
「起きてたんだ。どう?」
ジャージにエプロン姿の見慣れた彼は、心配そうな顔で部屋に入ってきた。
「もうすぐお昼なんだけど、お粥食べる?」
「うん…てかもうお昼!?」
「そう、だけど。どうしたの?」
「や、あの」
すでに実験が失敗に終わりそうな予感がする。
「あの、ね」
光忠に半日に一度しなくちゃならないことを伝えると、
「それがちょうど真夜中とお昼前、ね」
「そう。やっぱ無理だったね、実験」
力なく笑うと、
「まだ終わった訳じゃないでしょ?」
目の前でエプロンを脱いだ。
「光、忠…?」
「続けよう?主の言霊、生かしてあげなきゃ」
言うが早いか私に口付ける。舌を絡ませたあと少し唇を離して、
「…主の唇が苦いや」
と笑った。
そしてまた唇を塞ぎ、息ができなくなほどの情熱的なキスをしてくれながら浴衣の帯に手をかける。
「なにこの結びかた。え?片結び?」
しゅるっとほどきながら言う。
「…私浴衣着付けらんない」
やったのは私ではないが、私がやっていたとしてもほぼ同じことだ。
「ふふっ、そんなとこもかわいいよ」
いいながらも口づけは止まず、肩から浴衣を落とす。
そして露出した胸に手を添えた。
「柔らかい」
そしてそのまま布団に押し倒した。