第7章 Can you guess what?
「何をした?」
「…清光のことが好きだと思っただけです」
石切丸に抱かれたままそう言うと、三日月の青い目がキラリと光った。
「やはりな。主の思いが強すぎる。俺たちの思いが強いのとは訳が違うのだ」
「どうすればいい?」
石切丸が聞くと、
「何、薬研に熱冷ましでももらって飲めば治るさ。そんなに心配はいらんよ。じきにこういった感情も主自身が制御していかなければならないがな」
三日月はあっけらかんと言った。
「はぁ、よかったね。とりあえず部隊は昨日組んだのが有効だからそのまま行かそうか」
石切丸の言葉に私は黙って頷いた。
「あれだな、今日のようなことも含めここにしばらく居るのであればいろいろ考えねばならんことがあるな」
「そうですね。一度事情を知るものを集めて話し合っておかないとぬしさまの身体を壊すことに繋がりかねませんしね」
このひとたちの会話にはついていけない。頭痛いし。
「そういえば、さっき主の部屋に大和守さんと堀川さんもいてね。あとで説明するとは言ってきたんだがなんと言おうか」
お願いだから頭痛を早くどうにかしてはくれないだろうか…。
何も言えないまま三日月を虚ろな目で見つめていると、
「すまんが石切丸、主を貸してくれるか?」
そう言い私を引き取った。
「どうする?皆が見ている前だが」
一応の選択肢をくれたようだが、頭が痛すぎて選んでる場合じゃない。
すると、出陣予定なのだろう、あの青い戦闘服の振り袖部分で私と自分の口元を隠し、口付ける。
「三日月殿?」
小狐丸の声を無視し、私に三日月から何かしらの力を注ぎ込むと唇を離した。
「どうだ?」
「ありがとうございました」
お礼を言って三日月の腕から抜け出すと、
「主は俺が苦手か?そんなに早く離れなくともよいであろう?」
と笑った。
苦手というか少し怖いけど…。
「今のは?」
「何、少し俺の力を分けたまで。気にするな」
飄々と言って目を細めた。そして、
「大和守と堀川か。全ての真相を告げてしまうには若すぎる。ここは加州を矢面に立たせ、彼とのみ同衾をすれば長居ができる、とだけ告げればよいのではないか?細かいことは言わずとも俺の名を使って構わん。捩じ伏せればいい」
さらっと恐ろしいことを言う三日月。