第6章 美しい悲劇
「趣味…まぁいい身体は見てたいよね」
ババアになるにつれ、そういったことを表に出すのは恥ずかしくなくなってきた。
「変態、だな」
「うるさいよー、和泉守。自分が見てもらえないからって」
安定が口を出してきた。どうやら私の後ろは新選組ゾーンらしい。
「てかその浴衣清光からとか、見せつけないでよね」
どうやら私たちの会話は先ほどから全部聞かれていたようだ。
「いーじゃん!悔しかったら安定もやりゃいーじゃん」
「清光の二番煎じは嫌!!」
清光と安定が口論になり始める。
「はっはっ、若いな」
言いながら三日月は茶を啜っていた。
食事を終え、片付けを手伝い広間に戻ると、堀川が例の段ボールを引っ張ってきていた。
「今日こそ長州呑み倒してやります!」
なんて意気込んでいる。
広間を見回すと、いつものメンバーが揃っていた。
「主、来い」
大般若に手招きされ、そちらに向かうと、
「お前は呼んでないが…」
言われ振り返ると清光がぴったりついてきている。
「いいでしょ?大般若んとこいたら主喰われそうだし」
「人聞き悪い言い方しないでくれ」
大般若は笑いながら隣に座るよう促してきた。
「前回は脇差にもってかれたから、先手打ってやろうと思ってな」
言いながら大般若の手には雁木。なかなかお目が高い。
「もちろん僕たちも一緒だよ」
光忠と鶴丸、大倶利伽羅と一期もいた。
「ずるーい!!今日も主さんとひっついてようと思ってたのに!!」
堀川が文句を垂れてきたが、
「兄弟はさっき風呂で滅茶苦茶なことしたからダメに決まっている」
山姥切がそれを一蹴した。
「おー大般若。今日はこのかっこいーい兼さんがあんたの男前ってのを見てやろうじゃねぇの?」
和泉守も混じってきた。
「何言ってんだ。意味がわからないな」
大般若は瓶の蓋を開け、いくつかのお猪口になみなみと注いだ。
「さぁ主呑め」
ひとつを私につきだしてくる。
「ありがと。いただきます」
それぞれが手にとり一気に呷ると、
「やっぱあんたと呑む酒はうめぇな。今日は浴衣のせいか色気も増してるしなぁ」
言った大般若に、
「俺の、だからね」
見せつけるように清光が私の身体に腕を回した。
「なんだよ、男前って。全然わかんねぇ」
そう言ったかと思えば和泉守はその場に倒れた。