銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第11章 侵攻前の作戦会議
そこまで言って迅は目を見開いて起動配置図をじっと見つめている海影に視線を向けた。
『ボス。先日倒した爆撃型トリオン兵と偵察型の写真見せて。』
目線を外すことなく静かにそういった海影に林藤はタブレットに映ったネイバーの写真を見せた。
そして海影のアメジストの瞳が、シトリンのような黄色の瞳に変わった瞬間
海影はやっと瞬きをするとゆっくり口を開いた。
『...クラトル...』
「え?」
ボソッ。と呟いた海影に聞き取れなかった修はキョトンとした視線で海影を見る。
『攻めてくる国はアフトクラトル。』
「なっ!?」
「本当だな?海影。」
驚く修を差し置いて、城戸が海影に問いかける。海影は頷くとそれ以上は何も言わず、また何かを考えるようにじっと起動配置図を眺めている。
「あれが海影のサイドエフェクト[共鳴]」
「[共鳴]?」
「そう。相手の極わずかな情報から相手の情報、行動、思考を読み取るサイドエフェクトだ。
簡単に言えば条件付きの心を読む力だな。」
迅の説明を聞いて修は海影に再度視線を向ける。
普段ならすぐにこちらを見返して『どうしたの?』と笑い問いかけてくる海影は余程集中しているのだろう。こちらの視線に全く気づいていない。
「今はひとまず、そのアフトクラトルが相手として対策を進めよう。次に知りたいのは敵にブラックトリガーがいるかどうかだ。」
「『ブラックトリガー.....』」
ブラックトリガーにその場の全員が反応する。
少し間を置いてレプリカが城戸の質問に答える。
話を聞く限り遊真達が訪れた7年以上前には既にアフトクラトルには13本のブラックトリガーが存在していたらしい。
誰もがその数に息を飲む。
7年以上前で既に13本....
もしかしたら増えている可能性だってある、その現実に誰も言葉を発すことができなかった。
しかしどの国も希少なため基本は本国の守りに使われ、主にトリオン兵が使われることが多いらしい。
それもそうだ。ブラックトリガーは人の命の結晶だ。そんなのが一般的になったら溜まったたまったもんじゃない。
だが、こちらで使っているトリガーの元を辿ればはネイバーの技術だ。
レプリカがオリジナルに勝てるだろうか....
どちらにせよ、ノーマルトリガーであってもあちらの方が上であることは、確認せずともわかっていた。
