銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第11章 侵攻前の作戦会議
「あーけっこう経験の差があんなー」
『うん。やっぱりそれなりの数こなしてきてるだけのことはあるねぇ』
「けいけんの差ともう数をこなすってなんだ!?ゆうまもミドリカワに負けるって言うのか!?」
「いや逆、逆。見てな。そろそろ勝つぞ。」
3本目が開始された。
勝負は米屋が予告した通り、空閑の勝利。
緑川は心臓の辺りを1突きだった。
「1本返した!」
「相打ちOKか!」
様々な声がある中米屋は嬉しそうに笑っている。
「捕まえた。もう負けねーな。」
『うん。完全に遊真の手のひらで転がされてるねー』
米屋の言葉に普段笑っている海影は真顔で頷くとまるで遊真の動きを覚えるようにじっとモニターを見ている。
「どういうことですか....!?」
『陽介の隊を4対1で凌いだ遊真が緑川くん1人を捌ききれないってことは無いってことだよ。』
「九十九の言う通りだ。それになんか知んねーが白チビのやつ。緑川をボッコボコにしたいらしーや。」
4回戦、5回戦と遊真は開始早々緑川を圧倒していく。
その様はまるでA級とC級の対戦を見ているようだった。
「緑川は才能はあるし実際つえーけど、まだボーダーに入って1年かそこら。覚えたての芸を見せたくてしかたねー犬っころの動きだ。」
『それに比べて遊真は違う。もっと静かでただ上手く相手を殺すための動き。無駄がないの。隙もね。』
「殺すための動き......」
その後もやられ続ける緑川。
最初は手を抜いて負けていた遊真を見ていたC級やB級は意味が分からないとばかりに声をあげる。
その間も試合を見ていた陽介や海影は修に色々と解説をしていく。
『さて。最後の1本だね。』
「緑川も気づいたっぽいし、最後のこの試合はいい試合になんかもな。」
米屋の言う通り、最後はお互いの全力を出したいい試合だった。
────10本勝負終了 勝者 空閑遊真
A級が負けたという声がそこら中から聞こえ、ブースから出てきた遊真は皆の視線を集めていた。