銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第3章 白いネイバーと少女
買い出し終えて、支部までの道を歩いていると、ふと佐鳥の言葉を思い出した海影は悩んだすえ、メールを送ることにした。
『...はぁ。とりあえず連絡でも入れるか。』
携帯を取り出し、名簿から出水を選択するとメッセージを打っていく。
【そっちはどう?こっちは変わりないよ。帰ってきたら、公平が見たいって言ってた映画観に行かない?】
メッセージを送信し終わると、夜の町で賑わう人混みを歩く。
どうせ返事など返ってこない。
当たり前だ。
次元が違うから、届くはずもないし、返事が返ってくることもない。
期待している自分がバカみたいだと重いため息をついた。
『あーあ、らしくもない。早く支部に行くか。』
気持ちを切り替えて、賑わう町を抜け、真っ暗な住宅街に近いところを歩いていると、
「よぉ。少年。俺たち金に困ってんだよ。その金俺たちにくれよ。」
路地裏で柄の悪い男達に白髪の少年が絡まれているのを目撃した。
当然見たからには放っておくことなどできる訳もなく、半分呆れながら男たちに近づいて行った。
『はいはい。おにーさん達。そこまでだよ。あんたら、そこのいたいけな少年に何してんの?』
「あ?なんだよお前!」
『君、大丈夫?親は?』
怒鳴り付ける男達を無視して、海影は白髪の少年に目線を合わせるために少し屈む。
「フム。大丈夫です。助けてくれてありがとうございます。」
『あはは。まだ助けてないけどね~』
「無視してんじゃねぇ!」
怒りが頂点に達したのだろう、男達は二人に対して怒鳴る。
『はぁ。お兄さんたち、この子に何してたの?』
めんどくせぇというオーラを漂わせながら海影は男達に質問する。
話を聞くと、親が死にそうなのでお金が欲しいという内容のものだった。
コレはサイドエフェクトを使わなくてもわかる。
真っ赤な嘘だ。
というか、もう顔に嘘ですっていうハッキリ書いてある。
少しは隠す動作でもすればいのにと海影は内心呆れながら思った。
「もし、ウソだったらぶっとばすよ?」
目に見える嘘をついている男達に白髪の少年は念を押すように聞く。
すると男達は下卑た笑いを浮かべながら
「ホントホントウソじゃねぇよ!信じてくれよ!」
と、まぁ。ぬけぬけと嘘をついた。
それが男達の最後だった。