銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第8章 ブラックトリガー争奪戦
「〔 立派なボーダー隊員 〕だと!?ふざけるな!ネイバーを匿ってるだけだろうが!!」
ネイバーに対して恨みのある三輪は迅の言葉に対して抗議の声をあげる。
「ネイバーを入隊させちゃダメだっていうルールはない。正式手続きで入隊した正真正銘のボーダー隊員だ。誰にも文句は言わせないよ。」
「なんだとっ.....」
「いや、迅。お前の後輩はまだ正式隊員じゃないぞ。」
文句を言おうとした三輪を遮り今まで黙っていた太刀川が口を開く。
「玉狛での入隊手続きが済んでも、正式入隊日を迎えるまでは本部ではボーダー隊員と認めていない。俺たちにとってお前の後輩は、1月8日まではただの野良ネイバーだ。仕留めるのは何の問題もない。」
バックワームを解除する太刀川
どうやら本気で迅と剣を交える気らしい。
「へぇ....」
太刀川の言葉にいかにも今さっきその事実を知りましたと言わんばかりに迅は声をあげる。
「邪魔をするな迅。おまえと争っても仕方がない。俺たちは任務を続行する。本部と支部のパワーバランスがこれ以上崩れることは別としても、ブラックトリガーを持ったネイバーが野放しにされている状況はボーダーとして許すわけにはいかない。」
風間はそれでも引かない迅をじっと見据えた。
「大人しく渡した方がお互いのためだ。それともブラックトリガーの力を使って本部と戦争でもするつもりか?」
「城戸さんの事情も色々あるだろうが、こっちにだって事情がある。あんたたちにとってはたんなるブラックトリガーだとしても、持ち主本人にしてみれば命よりも大事なものだ。」
それはブラックトリガー保有者である迅自身よくわかっていることだった。
遊真のブラックトリガーは父親、迅のブラックトリガーは師匠、海影のブラックトリガーは兄というように、ブラックトリガー保有者からすれば大切な人で手放したくないという気持ちが強い。
特に遊真はブラックトリガーがなければ、生きていけない体だ。
それを知っている迅は大人しく渡す程お人好しではないということだ。