銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第7章 三人の師匠と遠征部隊の帰還
「えっ、そうなの?」
「迅に兄弟なんていたんだ.....!とりまる!海影!あんたら知ってた?」
「もちろんですよ。小南先輩知らなかったんですか?」
『そ、そうだねっ。し、知らなかったの?』
京介はさすがと言うべきか、真顔で嘘をつく。
これがまた見事に平然とした顔をするので、本当か嘘か見抜くのが至難の技。
一方、笑いを必死に堪えているのか、海影の声は震えていた。
「レイジさんも知ってたの!?」
「よく知ってるよ。迅が一人っ子だってことを」
レイジの言葉に小南は顔を青くしては?という顔をしたあと、言葉の意味を理解したのかハッ!と我に帰る。
「だましたのね!?」
もはや玉狛の御家芸と言った小南の台詞が部屋のなかに響き渡った瞬間、迅と海影はこれでもかというぐらい声を出して笑う。
「いやーまさか信じるとはさすが小南。」
『さてさて、冗談はここまでにして、本題に入ろうよ!』
海影の切り替えの言葉に迅は説明を始めた。
「そうだな。こっちの3人はわけあってA級を目指してる。これから厳しい実力派の世界に身を投じるわけだが」
『次の正式入隊日は1月8日。つまりC級ランク戦開始まで約三週間ある。この三週間を使って新人3人を鍛えようって思ってるのね。』
「具体的にはレイジさんたち3人にそれぞれメガネくんたち3人の師匠になってマンツーマンで指導してもらう。」
「はぁ!?ちょっと勝手に決めないでよ!」
海影と迅の提案に冷や汗をかく小南が抗議の声を上げる。
どうやら3人の入隊を認めていないらしい。
『小南。これはボスの命令なんだよ?』
「.....ボスの!?」
「林藤さんの命令じゃ仕方ないな。」
「そうっすね。仕方ないっすね。」
林藤支部長の名前が出た瞬間、小南はそれ以上の何も言えず、レイジと京介は腕を組ながら納得したように「仕方ない」といった。
「わかったわ!やればいいんでしょ。でもそのかわり───」