銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第6章 副作用の副作用と三人の新人
「──もちゃ。くもちゃん、九十九ちゃん!」
『ハッ!え、』
医師の呼ぶ声で海影は飛び起きる。
どうやら無意識のうちに眠っていたようだ。
「点滴終わったよ。」
『え!?マジ?...うわぁ。もう外暗くなってる。』
ベッドから降りて、急いで携帯の時間を確認する。どうやら2時間以上寝ていたらしい。
『うん?あ、ボスから着信来てる。』
機械音を鳴らしながらメッセージを確認していると林藤支部長から着信に気付き、その場で電話をかけることにした。
【お、やっと繋がったな。】
『検診に行ってました。で?どうしたんですか?』
【新しい仲間を入れることになった。夜までに帰って来れるか?】
『...分かりました。じゃあまたあとで。』
ピッと電話を終了させると、海影はベッドの隣に畳んで置いてある上着とマフラーを身に付ける。
『じゃあ。先生。私帰るね~』
「あ、待ちなさい。城戸司令からブラックトリガーを回収の命令が下ったわ。迅くんもだから、詳しいことは迅くんから聴きなさいね。」
『は~い。ありがとうございました。』
冷静を装って海影はヘラヘラと笑いながら医務室を出る。
『(ついに遊真の事がバレたかぁ...城戸さんの考えは餅は餅屋ってところか。これは下手を打てば遠征部隊を使ってくるな。)』
内心面倒な事になったなと思いながら、本部の廊下を歩いていく。
「あ!!つくもん先輩!」
元気な声をあげて走りよってきたのは草壁隊アタッカーの緑川駿。
かわいい後輩で、海影が弟のように可愛がっていて、A級3馬鹿の迅バカを担当している子だ。
本人も海影を姉ように慕っており、懐いている。
『あ、緑川くん!』
「俺、今暇なんだよね!ランク戦の相手してよ!ねぇ!お願い!!」
『ごめんね。今から急いで支部に帰らなきゃなんだ。今度じゃ駄目?』
「えー!迅さんはS級だから無理だし、つくもん先輩は最近ランク戦相手してくれないじゃん!いずみん先輩もまだ帰って来ないし!暇なんだよ!」
ぶうっ。とハムスターのように頬を膨らましながら緑川は海影に抱きつく。
『ほら、飴あげるから拗ねないで、ね?今度気が済むまでランク戦してあげるから。』
「マジ!?やった!約束だからね!」
『うん。』
それから海影は緑川と別れると急いで支部まで帰った。