銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第18章 銀の鳥と仲間たち
「海影先輩。」
「海影ちゃん。もう大丈夫?」
『?誰...』
レイジがいなくなった次は眼鏡をかけた少年と小さな少女が声をかけてくる。
彼らはどうやら僕のことを知っているようでメガネの少年の方は何故か居心地が悪そうに海影を見据えていた。
「三雲修です。こっちは雨取千佳。」
『修と千佳?』
「やっぱり思い出せないんですね...((ボソッ…」
『今なんて』
「金の雛鳥って言ったら分かる?海影ちゃん。」
『!君が金の雛鳥?』
「うん。」
『そうか...よくハイレインから逃げれたね。』
海影は千佳を見てどこかホッとした様子で見つめた。
本心なのかは分からない。いやきっと本心ではないはずなのに。でも何故かホッとしてしまった。
記憶を失っても海影の心のどこかでは千佳のことを心配していたのかもしれない。
そんな反応に誰もが記憶が戻るのではないかと期待する。
「その事なんですが...海影先輩!本当にすみませんでした!」
「私からもごめんなさい!海影ちゃん。」
バッ!と少年と少女は頭を下げる。
それを見たその場の全員が修と千佳、海影の3人に視線を向け黙り込む。
『え、あ、ごめん。修?と千佳?だっけ、僕記憶がないからさ、君たちが何に対して謝ってるのか分からわない。』
「そうですよね。でも謝らせてください。」
「あのね海影ちゃんが連れさらわれたのは私のせいなの。」
『え?』
「僕たちを守るために海影先輩は自分を犠牲にしてアフトクラトルに連れ去られた。それを僕たちは近くで見ているだけしかできなかった...本当は僕が止めに行かなきゃいけなかったのに...」
『(あ〜。なるほど罪悪感か。)』
「...海影先輩? 」
『わかったよ。修。千佳。2人に贖罪のチャンスを与える。』
「!はい!」
『僕、ここ全然わかんないんだよね。案内とかルールとか色々教えてくれない?それなら2人を許すよ。』
「そんなことでいいんですか!?」
『?うん。ルールはどこの世界でも大事だからね。(ってヴィザ翁が言ってたし。)』
「わかった!責任もって私たちが海影ちゃんに色々教えて上げるね!」
『ありがとう。 』
海影はにっこりと笑うと千佳の頭を優しく撫でた。