銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第18章 銀の鳥と仲間たち
「【寄生型トリガー ビーストトリガー】はその名の通り対象に寄生するトリガーだ。強制的に主従関係を結ばされ、寄生された方は強制的に洗脳プログラムで洗脳される。」
「ここまでだとそれほど危険とは思えないが?」
「ここまではな。だが、ビーストトリガーはそれと同時に戦闘能力を強制的に引き上げる力があんだよ。それがかなりやばい。元々なかった力を強制的に引き上げるんだ。まだ研究段階ってのもあって適合者になれなかったやつは、みんな激痛と洗脳で廃人と化すか、とち狂って死んじまう。仮に適合したとしても、力のコントロールが上手くいかなきゃ、身体と記憶を蝕むただの毒でしかない。」
「どのように蝕んでいくんだ?」
「簡単な話だ。生命力が削られちまって衰弱死するだけだ。元々あれは使い捨ての駒に使うためのトリガーだ。」
それを聞いた小南、迅、鬼怒田は驚愕したような表情を浮かべ、話を理解出来ていない海影に視線を向けた。
『?』
「解除する方法はあるのよね!?」
「無いことは無いが俺はその方法を知らねー。俺はそんなのに興味なんてサラサラなかったからな。ビーストトリガー自体ハイレインの家が実験を独占してやがったし。元に戻すにはハイレインの野郎に直接聞くか、その従者に聞くしかねぇだろうな。」
「...海影。ハイレインに他に何かされなかったか?」
『...』
「海影?」
『...』
「なぜ何も言わない!お前の命がかかっているのだぞ!」
鬼怒田は思わず声を荒らげると車椅子に座っている海影の肩を掴み、前後に揺さぶった。
よほど心配しているのだろう。
そんな彼を前にエネドラは忌々しそうに告げた。
「簡単な事だ。単に洗脳で命令に逆らえないって言うのもあるが...命令に逆らえばビーストトリガーに寿命と自我を削られちまうからだよ。適合者つっても"ドール"だからな。」
「"ドール"?」
「ビーストトリガーの適合者のことをそう呼ぶんだ。命令ひとつでどんな事でもする人形兵器【ドール】簡単だろ?」
「皮肉じみてるね。」
エネドラの言葉を聞いた迅はあまりの皮肉さに苦笑いを浮かべ、対する小南は悔しそうに唇を噛み締めた。