銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第18章 銀の鳥と仲間たち
やはりここは玄界か...
ならば好都合だ。
ハイレインの命令は玄界が追って来れないようにすることと、玄界の監視。
これから怪しまれずに潜入する事ができるだろう。
しかし、ミラとを繋ぐ通信機も取られている。どうしたものか。報告ができない限り、こいつらのと仲良くなる振りも、危険がある。
悩んでいると、迅と呼ばれた男は人が良さそうなそれでもってなにか含んだような笑みを浮かべ、口を割った。
「俺は迅悠一。お前の仲間だ。」
「私は小南桐絵。覚えてるでしょ?海影。」
震える声で小南は問いかける。
『迅と小南...?記憶にない。』
「そうか。でも大丈夫だ。俺たちは味方だ。ゆっくりその破片をこっちに渡せ。」
グッ!
迅が近づく度に強く握りしめられる破片は海影の手にくい込みさらに血を流していく。
「海影。頼むよ......これ以上俺たちにお前を傷つけさせないでくれ。」
『......』
ここはコイツらの言うことを聞いた方がマシか...
そっちの方が怪しまれずにも済むだろう。
しばらく考えた海影はそっと迅の掌に血まみれーの花瓶の破片を置いて、小南を解放した。
「俺たちのこと覚えているか?」
『覚えてない。それにそもそも"知らない。"』
「そう...でも信じて私たちは味方だから」
小南はそう言いながら泣きながら血の流れる海影の手を手当する。海影もそれを抵抗することなく受け入れるとじっと2人を見つめた。
『...信用出来ない。』
「すぐには無理よね。でもっ!このバカ海影!なんでこんな事になっちゃったのよッ。無茶しないって約束したじゃない。」
『なんで泣く?』
「アンタの事が心配だったからよっ!」
『(これが涙...)』
海影はおもむろに小南の涙を拭うと『...悪かった。』と戸惑った様子で謝った。