銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第18章 銀の鳥と仲間たち
下手に動くのは得策では無い。
今は様子を伺うことが先決だ。
ミラとの通信機も赤月も取り上げられている。
せめて赤月があればどうにかなったがあれがないのでは仕方がない。
そう考えた海影は大人しく誰かが部屋を訪ねてくるのを待つことにした。
────コンコンコンッ。
薄暗い部屋にノックの音が響き渡り、ガチャとドアが開く
『(あ...誰か来た。)』
ノックの聞こえたドアを見つめる。
『はーい。どうぞ』と言いたいところだが、
生憎この喉では返事はできないだろう。
ましてや捕まっている状態ならもっと危険だ。
『(ここは大人しく様子を見た方がいいな.....)』
だからとりあえず、視線で訴えることにした。
ドアはゆっくりと開くと、そこには1人の人影が見えた。
「小南。交代だ。起きろ〜!っ!?」
そう言いながら入ってきた青年は、海影を見ると一瞬固まった。
「もうそんな時間〜?」
起きた少女に黙って花瓶の破片を向ける。
『動くな!』
バッ!!とベッドから抜け出すと小南の腕を掴んで、首元に花瓶の破片を突きつける。
「やっぱりもう起きてたんだな。読み逃した。」
「ちょっとどういうことよ!何?どういう状況!?」
破片を突きつけられた少女は理解が追いつかないのか声を荒らげる。
『動くな。ここはどこだ。赤月をどこへやった。』
「海影」
『気安く名前を呼ぶな!!質問に答えろ!!』
「そんなに警戒するな。俺たちはお前に何もしない。順を追って説明する。だからその破片を置いて、小南を解放してくれ。
(やっぱり記憶は戻らなかったか。)」
『......』
黙り込んだ海影は小南の腕をさらに強く掴むと、ジロリと迅に視線を向けた。