銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第18章 銀の鳥と仲間たち
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『っ.....』
真っ白なベットに寝かされた少女の手がピクリと動く。
『.....ん.....ここは.....?』
目を開けると目の前には見知らぬ天井が広がった。
ここはどこ?と状況を理解するために体を動かそうとしてみたが、鉛のように重く、動かす度に骨が軋み、固まった筋肉が悲鳴をあげる。
『い”っ!?たい.....(体が酷く重くて、痛い。どのぐらい寝てたんだろう。)』
身動ぎを繰り返すと何とか痛む身体に鞭を打ち、起き上がる。
起き上がった彼女が目にしたのは病室でもなければ、記憶にある自分の監禁室でもない。
薄暗く、そして窓ひとつない簡素な部屋。
見覚えのない部屋に海影は焦ったように冷や汗をかきながら、ゆっくり部屋を物色する。
花瓶に花、数段の棚に、大量のお見舞いの品。そして点滴が腕に繋がれていた。
それとは別に管の着いた腕輪が嵌っており、そこから微弱だがトリオンの気配を感じる。
『.....』
それは隣に寝ている少女と繋がっていた。
一通り部屋を見渡したあと隣にはすぅすぅと安心しきったように眠りきっている少女に視線を向け、少女を起こさないように腕輪を外し海影は静かにベットから足を下ろし、立ち上がるとドアのセンサーに手をかざす。
案の定開かない。
ならば、開いたところを逃げるしかないか。と花瓶を手に取ると、布に包みパリンッ...と音を立てて花瓶を割った。
そしてその花瓶の破片を手に取ると握り締めドアを一瞥してまたベッドへと視線を向ける。
まさかあのまま捕まったのではないか。
この娘を人質に取れば逃げれるか?
いや、ここはハイレインの指示を聞いた方がいいか。
『【ハイレイン、ハイレイン!】』
「【.......】」
ハイレインへの通信は......ダメだ。
自爆した時にどこが壊れたのだろう。
通信が機能しない。命令がない以上私はどうしたらいいか分からない。
今の私はまさに袋の中のネズミ状態だ。
だが逃げる時に武器がないと不便。
その為に花瓶を割り、破片を隠し持つことにしたのだ。
そしてまたベッドに戻ると少女に視線を向けた。