銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
『僕は...僕は...僕には生きてる価値がない...命令がなきゃ僕は僕で居られないの...僕なんて...あの時死んでたはずなのにっ...』
頭を抱えた海影の身体に巻き付くように黒い霧が漂う。
それは海影を覆い隠し、海影の身体を着実に蝕んでいく。
「やめろ!バカ海影!!このままじゃ心が壊れるぞ!」
『邪魔しないで...武器である僕に心なんていらないっ!』
「グッ!いいか!よく聞け!お前は俺の代替品なんかじゃねぇ!物でもねぇし、ハイレインの武器でもねぇ!そんなことも分からねぇとかバッカじゃねえのか!?
何よりお前のせいで俺は死んだわけじゃねぇし!何考えてんだよ!アホか!バカか!頭悪いんか!?はあ!?何が命令がなきゃ生きれないだ。だったら!俺が命令してやるよ!
俺の分まで幸せになれ!!」
『っ!うるさい!!』
「!?」
『ねぇ、考えても見てよ。
僕はこのトリガーがある限りハイレインから逃れられない。抵抗したって無駄なんだよ。』
「それでも」
『それに!!この記憶じゃ.....僕は...私はっ!!』
「海影!!」
『私が弱くなかったら、最善の未来に導けていればみんな死ななかった...あの時ちゃんと迅?の予知通りに動いていれば...旧ボーダーも、灯影も壊れずに済んだんだよ?
私が選択を間違わなかったら生きてた。
逃げていいわけない。
─────私は私を許せない。』
「海影!!」
『ごめんね...ごめんね。灯影。貴方の代わりになれなくて...出来損ないでごめんね...』
「海影、お前。このままでいいのかよっ!記憶を封印されたままずっとそうやって抱え込んで、ハイレインの犬になって!仲間も自分も裏切り続けて!そんなこと続けてたらいつかお前の心が壊れるぞ!」
『壊れる...?あはは...灯影面白いこと言うね。
私はもうとっくに壊れてるんだよ。』
「どういうことだよ.....」
灯影の声が震える。