銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
「なぁ海影!お前はこんな所で捕まってるタマかよ!ハイレインっつうやつの言うことなんて聞くな!」
『黙れ!僕は僕は!僕はハイレインの心を持たない武器だ!心や記憶なんて必要ない!』
そうだ。僕は僕の物じゃない。
僕にトリガーを植え付けたハイレインのものだ。
彼が命令すればその命令を遂行するだけのただのドール。それ以上でもそれ以下でもない。
『僕は所詮紛い物.....価値なんてないんだよ。
僕は.....どうなってもいい。命令が全てなんだ。それが僕にできる唯一できることだから.....
ハイレインの命令を遂行しすることだけが僕の生きる意味なの....!だから邪魔しないで!』
ぐるぐると今まで胸の奥に押し殺していた思いが溢れ出した。
「違ぇだろ。海影。お前がボーダーに入ったのはハイレインとか言う奴の言いなりになるためじゃねー。ブラックトリガーになっちまった奴らを助けるためだろうが!」
『.....!』
ジジジッ!!
『ゔ....ああ....あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙────っ!!!』
頭痛がする。
痛い。痛い!
頭が割れそうなほどの頭痛が海影を襲う。
でもそれよりも心が胸が痛かった。
パキッパキッ!パリン.....
【海影!!】
まるで楔が切れるようにして、一部の記憶が海影の中に流れ込む。
『《約束...守れなくてごめんね...ずっとずっと.....貴方の事が大好きでした。》』
貴方?誰のこと?
「《海影。お前に託したいことがあるんだ。》」
託したいこと?
何この記憶。
これが私の記憶なの?
「ミカ。俺さお前に託したよな?」
『え?』
「俺の願い。そんな事も忘れちまったか?」
彼は悲痛な顔をすると、海影の頭を軽くコツンと小突いた。
すると遠い昔の記憶が呼び起こされる。