銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
「学校は楽しかったか?」
『うーん、ぼちぼちかなぁ。』
「俺は楽しくねぇ。高校の勉強とかマジで嫌い。つか、だりぃ。」
父の問い掛けに灯影はうえ。と舌を出しながら答える。
父はそれを見て声高々に笑うと食事を用意して席へと着き、家族団欒の時間を楽しんだ。
「今日はロコモコを作ってみたんだけどどうかな?」
「美味しい。父さんの料理は大抵全部うまい。」
『僕も美味しいよ。お父さん。』
「あははっ!よれは良かった!久しぶりだからお父さん緊迫したよ! 」
笑い声が響きわたり。
他愛もない話をしながら、心地いい時間がゆっくりと流れていく。
こんな幸せな時間がずっと続けばいい....そう心の底から思った時だった。
【お前はそれで本当に幸せなのかよ。】
『え.....?』
急に脳裏をよぎった言葉に頭から水をかけられたような感覚が海影を襲った。
食事から目線を外し正面を見ると、さっきまで居たはずの父と母の姿はそこに無く、
ただ悲しそうに顔をゆがめた灯影と海影だけがいた。
「.....海影。お前は幸せか?」
『え、急にどうしたの?』
「俺はさ、幸せだった。お前と一緒に戦えたこと、夢だけどお前とこうやってまた学校に通えて、話が出来て、飯を食って.....笑いあって。」
『灯影....?』
「でも....ここはお前の世界じゃない。お前が作り出した夢の世界なんだ。お前の居場所は別にあんだろ?
そしてそこにはお前と一緒に闘ってきた奴らが居る。でも今のお前はそれすらも忘れてしまっている。」
『は?何言ってんの?意味分からないよ。ねぇ。灯影?』
「なあ、海影 。お前は今のお前は本当に海影か?」
灯影の辛そうな顔を見て、海影は言葉を失い、景色が暗転する。
『(......ここはどこ?)』
次に目を開くとそこには暗闇が広がっていた。
そして記憶が鮮明に思い出される。
あれ......僕今まで何をしてたんだっけ?
っ!?そうだ!ガロプラとの作戦に失敗して
ハイレインの命令で自爆した.....
そこまでは覚えてる。
あれ?なんで今まで忘れてたんだ?
なんで夢だと思い込んでたんだ?
混乱する海影を前に灯影は無言でその姿を見つめた。