銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
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結局海影はあの日から目が覚めること無く、状態が落ち着いたということで、捕虜を収容するための特別な部屋に移された。
「ガロプラの計画的進行は特に被害はありませんでした。ただ遠征艇をしまっていたハンガーの扉だけが海影のブラックトリガー赤月の自爆により壊されただけです。」
「.....」
「ハンガーの建設は鬼怒田さんがさらに壁を厚くして修復作業を始めています。」
「そうか。まだ軌道上的にはガロプラは近い。引き続き警戒を怠らないように。だが今回迎撃にあたった隊員には十分な休息を。特級選考は迅に与えるとしよう。」
「わかりました。では」
「彼女の......」
「?」
「海影隊員の様子はどうだ?」
「....残念ながら未だ目覚めておらず、体内に埋め込まれた未知のトリガーの解析も芳しくないようです。」
「そうか。わかった。」
そう言うと城戸は立ち上がり、そのまま部屋を出て行く。
「城戸司令?」
「あの子の様子を見に行く。これでも私はあの子の伯父なのでな。」
「!そうですか。」
城戸はそう言うと迷うことなく海影の部屋へと向かった。
『海影っ....海影....早く目覚めてくれよ。」
「!君は....」
「城戸....さん。」
「今日も来ていたのか。顔色が悪いようだが大丈夫かね?」
「大丈夫です....」
「とても大丈夫なようには見えないな。ここ最近家にも帰っていないようだが。ご両親も心配していたぞ。」
「...コイツのことになると不安で...夜眠れなくって」
「そうか。私も君と同じだ。この子のことになると安心していられない。彼女は灯影の忘れ形見だからな。」
海影の部屋に向かうとベッドで眠る海影の手を握って祈りを捧げる出水の姿が目に入る。その顔色はお世辞にもいいとは言えず、ここ最近眠れていない事は明白だった。