銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
「風間さん、忍田本部長。海影の容態は?」
「....」
出水の問いかけに風間は迷うように口ごもるとゆっくりと話し始めた。
「処置は終わった。だが、助かった訳じゃない。」
「どういうことですか?」
「海影の体はかなりボロボロの状態らしい。胸部に10針縫う程の裂傷。心臓にまで刃が届いていたらしいが出水ノトリオン供給で修復し始めたそうだ。心臓の傷で死ぬことは無い。」
誰もがホッと胸を撫で下ろす。
しかし風間の次の一言で誰もが言葉を失った。
「だが、内臓損傷。爆発による全身の重度の打撲と中度の火傷、右脚にヒビ、左の肋骨に三本と右腕の骨折。生きているのが奇跡くらいだ。それに.....」
「風間さん?」
風間はそこまで言うと口篭り、黙って出水を見ると口をパクパクと動かし迷ったように視線を背ける。
どうやら言うか否か迷っているようだ。
「風間さん?どうしたんですか?」
「.....」
柄にもなく黙り込んでいる風間に誰もが不安を覚えてる。
そしてその視線を彼に注いだ。
しかし風間は未だに口ごもると迅を見た。
「風間さん。言うしかないよ。」
「そうか...だが」
場に緊迫した空気が流れ、時計の針の音だけが木霊した。
そして数分後、意を決した忍田が唇を切る。
「私が言おう。」