銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
「.....出水、海影が何も言わないのはお前が悪いんじゃない。アイツが慣れてないだけだよ。他の誰かに頼るってことがね。アイツの相棒は昔も今も灯影だから。」
「!昔も今もってことは。もしかして赤月って────」
「そ。赤月は灯影。5年とちょっと前にあった戦争で被弾して死にかけてた海影を助けるために灯影は自らブラックトリガーになったんだ。」
「事故じゃなかったんですか!?」
「事故?事故なんかじゃない。灯影は間接的だけどネイバーによって殺されたんだ。本来なら殺されていたはずの海影を救うためにブラックトリガーになった。」
「そんな......俺そんなことも知らずに......」
出水は灯影のお葬式の出来事を思い出す。
『《ごめんっごめんなさい!私のせいでっ!灯影っ!灯影えぇぇ───!》』
あの頃の俺は灯影は海影を庇って事故死したとしか聞かされていなかった。
だから俺はこう言ってしまったんだ。
アイツの気持ちも考えずに......
「《大丈夫だ。灯影はお前を守れて嬉しかったと思うぜ。だから......もうそんなに泣くな。俺もアイツもお前の笑った顔が好きだ。これからは俺が守ってやるから泣くな!》」
そう言ってしまった......
本来ならアイツの気持ちにもっと配慮するべきだったのに。
俺はアイツから泣くことを奪ってしまった。
「海影はね、本当は誰よりもネイバーを心の底から憎んでる。復讐したいくらいにね。」
「コイツが!?」
ありえないと言わんばかりに目を見開くと、ガラス越しの海影を出水は凝視する。
それもそうだ。
ネイバーである遊真とレプリカをなんの抵抗もなく受け入れ、玉狛側にいる海影がまさか仇討ちしたいくらいにネイバーを憎んでるなんて誰が思うだろうか。
「当たり前だ。目の前でトリオン兵に父親を殺され、挙句の果てには目の前で自分を助けるために双子の兄がブラックトリガーになったんだ。そして家族全員バラバラになってしまった。誰だってそりゃ憎くもなるよ。」