銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
日が暮れ、夜になりもう少しで深夜になるという時だった。
パ!
【!!】
ランプが消え、ずっと閉ざされていた扉がやっと開き海影が運び出される。
「海影!」
急いで駆け寄ると、死人のように真っ白な肌に傷と火傷だらけの海影を前に出水は何も言えず唇を噛み締めた。
「海影.....お前、その角!」
「出水見るな。」
「あ」
「アイツは今の姿を(好きだった)お前にだけは見て欲しくないはずだ。」
太刀川は出水の目を覆うと運ばれていく海影からめをそらさせる。
そのまま海影は集中治療室通称ICUに送られ、出水たちはそんな海影を追いかけ、交代でガラス越しから見える海影の様子を見ることとなった。
「出水......揚げせん食う?」
「......」
「なんて冗談言える空気じゃないね。もう供給を始めて結構経つけど大丈夫なのか?」
「大丈夫です。それより迅さん。俺よっぽどコイツに信用されてないんすね。」
「え?」
「大規模侵攻もその前もずっとアイツなんも俺に言わなかった。いや、言ってくれなかった。俺幼馴染なのに知らなかったんですよ?アイツが旧ボーダーの一員だってことも、全部。」
「それは────」
「初めからおかしいって思ってたんです。コイツ、俺が入隊するよりも前に入隊してたし、それに俺が入隊してきた時鬼の形相で怒ってきて、今すぐ抜けろなんて言い出すし......何度も俺たちのチームに入れって誘っても断るし......迅さん。5年前だって何かあったんでしょ?アイツらに一体何があったんですか?」
「.....知ってどうする。」
「ッ!!」
バリッぼんち揚を噛み砕くと迅は地を這うような声で出水に問いかけた。
「それを知ってお前は海影に何を求める?何を与えられる?」
「俺そんなに信用ないですか?アイツが頼れねぇほど......俺アイツに守られてばっかは嫌なんです。アイツと対等で居たい。アイツが俺を頼らなくてもいい。俺がアイツを助けられるだけの力が欲しいんです!」
「そっか。コイツの好きな人がお前で本当に良かったよ」
迅はそう言うとどこか嬉しそうに笑って海影西線を向けた。
「え!?それって!」