銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
「風間さん、太刀川さん、小南......」
「迅。アイツは本当に海影なのか?顔が似てる別人じゃないだろうな?」
「それは無い。アイツは海影で間違いないよ。」
「何故そう言える?確かにアイツは自分からミカゲって名乗ってたが、この世には同じ顔が3人だかいるんだろ?別人っていう可能性もあるじゃないか。現にアイツの目は薄紫じゃなくて青色だった。」
「それでも私たちにはあのミカゲが九十九海影だって分かる理由があるのよ。」
「その理由とはなんだ。」
「海影が持つブラックトリガー.....赤月は海影にしか使えないんだ。」
「!?それはどういうことだ。」
「...... 」
驚いた様子の太刀川の問いかけに迅は、少し迷ったように視線を落とすと、代わりに小南が重々しく唇を噛み締めながら、その場の全員に告げた。
「海影の心臓はトリオン体なのよ。」
「「「!!?」」」
「心臓がトリオン体?どういうことだ!空閑とは違うのか?」
「遊真と似ているけどちょっと違うんだ。遊真は全身トリオン体だけど、海影の場合は心臓だけがトリオン体なんだ。身体の一部だけがトリオン体。5年前.....灯影が海影を助けるために自らブラックトリガーになったんだ。」
「(また5年前.....5年前に一体何があったんだ?)」
「赤月は海影の心臓と連動してるのよ。だから海影以外は使えないようになってるの。赤月は海影の海影だけの為に作られたブラックトリガーなのよ。」
「仮に海影から赤月を奪って使おうとしたら心臓までも奪って移植しなきゃならない。実質海影は死ぬことになる。だがあのブラックトリガーは生きてる。灯影の意思があるんだ。仮に心臓を移植したとしても海影以外の適合を受け付けない。」
「なんだよそれ.....」
真実を聞かされた出水は力なくソファへと座り込んだ。