銀の鳥に幸せのトリガーを....【ワールドトリガー】
第17章 傀儡と不思議な少年
気を失った海影を抱え迅はすぐに地下から走り出すと基地の医務室へと足を急がせた。
「忍田さん。敵ネイバー......いいや。海影を捕らえた。傷が酷い医務室に運ぶから隔壁を開けてくれ!」
「わかった。冬島。直ぐに医務室への最短ルートの隔壁を開けてくれ」
「了解」
その間にも血はボタボタと海影から鮮血が流れ落ち、床を真っ赤に染め上げていく。
「頼む。死ぬなよ海影!」
運ばれた海影は医務室で急いで手術室へと運ばれるそれを遠目から試合の解説を終えた出水が目撃してしまった。
「あ、迅さ────ッ!?あれは.....海影.....?」
床を真っ赤に染め上げていく海影の血。
出水が異変を感じて駆けつけた時には医者や看護師が慌てふためき、その場は騒然としていた。
「医師の手が足りません!」
「手の空いている医師を早くこっちに!」
「九十九さん!?九十九海影さん!?聞こえますか?」
「輸血ライン確保して早く!」
手術室から医者や看護師の声が聞こえ、不安を募らせる一方。
「迅さん! 」
「出水!お前ランク戦の実況はどうした!?」
「ついさっき終わりました。それよりどういう事ですか?何で海影がここに.....それにその血だって!迅さんのじゃないですよね!?どういうことですか!迅さん!!」
医務室の前に着くとすぐに、海影の血で染まったであろう服を着ている迅が手術室の前で立っているのが目に入る。
今の状況を聞こうにも、すでに錯乱状態の出水は迅に詰め寄ると海影の安否を必死に確認してきた。
どうか無事であってくれ、何かの間違いであってくれ。悪い夢であってくれ。
そう願いながら。
「落ち着け。出水。ちゃんと順を追って説明するから。」
「落ち着いていられませんよ!何で海影がここに居るんですか!?アイツ俺たちを庇ってアフトクラトルに連れ去られたはずじゃ────」
「落ち着け!出水!」
咎め様な声が聞こえ視線を向けると、そこには風間、太刀川、小南が立っていた。